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Eternal mirage(10)

「えーい、しつこい!」
 ル・アージュの水クレイモアが襲い掛かる九尾狐を切り裂く。九尾狐も必死に反撃するがすばやいル・アージュの動きを止める事はできない。
 何度目かの斬撃にたまらず悲鳴をあげる九尾狐。その屍から青い箱がポロリと落ちている。
「青箱かぁ・・・、売れるのかね、これ・・・?」
 青い箱を拾いあげ怪訝そうな顔をするル・アージュ。彼女は今、クリシュナの勧めでフェイヨン地下洞窟の地下4層目にきていた。
 リューディーがこれから揃える装備で使うソヒーカードを得るため、狩場に困るル・アージュに白刃の矢を立てたのである。別にお金になるわけではない狩場ではあるが、今のル・アージュの実力からすれば白ポーションの消費も少なく、そこそこ稼げる修行場ではあるとクリシュナが勧めたのである。
「質より量とはいえ・・・、お金になるようなもの出てくるのかねぇ」
 ため息一つついて今度は風クレイモアを装備し、ペコペコの向きを変えあたりを見渡す。自分のほかにもソヒーを狙う冒険者が何人か目に付く。
「カードかぁ・・・。そんな簡単に出てくれるものなら楽なんだけどねぇ」
 ポーションのビンを空け一気に飲み込むル・アージュ。空になったビンを見るたび脳裏にネリスの顔が浮かぶ。
(この狩場、元が取れるんだろうか・・・?)
 一抹の不安がよぎる。彼女にとっても元が取れる狩場かどうかはわからない。でも狩りをしないことには何も変わらない。仕方なく狩りを続ける事を選びペコペコを走らす。
「ツーハンドクイッケン!」
 ル・アージュの体が黄色いオーラに包まれる。そしてハイスピードポーションを一気に飲みソヒーに襲いかける。
 今のル・アージュがソヒーごときに遅れを取る事は無い。むしろ自決される前に倒さなければならないのが難点といえる。そして冒険者達のターゲットの取り合いを避け、人のいない所へ向かい1体1の戦闘に持ち込む。
 元手の取れる狩りをしているのは今のところフレアを除いてヴァーシュとクリシュナのみ。早く自分も元手の取れる狩りをしたいところだが狩場が制限される上、運が左右されるので人気のある狩場には行けないもどかしさをぶつけるかのようにソヒーを狩り続けるしかない。
(ネリスにブツブツ言われるのはごめんだ・・・)
 その思いが頭をよぎるが、今は狩りに専念することにして次々とソヒーを倒し続ける。

 2時間後。

「ただいまぁ・・・」
「あら早かったわね。で、どうだった?」
 疲労困憊のル・アージュにクリシュナが尋ねる。
「よくわかんないまま帰ってきたからなんとも・・・」
 家の中に入るなり、テーブルにクリシュナの対面の椅子に座るル・アージュ。2時間半の狩りが早いと言われるのは心外のようだ。
「今時間叔母さんがいるのも久しぶりな気がする」
「そう? まぁ言われてみればそうかもね」
 ル・アージュの言葉に微笑んで答えるクリシュナ。どうやら狩りから帰ってきてそんなに経っていないようだ。
「疲れたんでしょ? 少し横になってきたら」
「うん。そうする・・・」
 そういって立ち上がるル・アージュ。足取り重く自室に戻り、鎧を脱いで倒れこむようにベットにつく。そして数分と経たずに深い眠りにつくのであった。

  by lywdee | 2009-03-03 12:01 | Eternal Mirage

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