Eternal Mirage(173)
冬の足音が聴こえてくるここプロンテラ。そこに居を構える女所帯の面々も、各々冬支度を終わらせ来るべき季節の変わり目に備えていた。
「わかってはいたけど、やっぱりこの格好は寒いわ」
修羅のいでたちで暖炉の火にあたるクリシュナは、胸のさらしを巻きなおしながら身震いした。
そんな姉の姿を見ることもなく、プロフェッサーになったルシアは相変わらず今で読書に励んでいる。
「異世界の調査も終わったんならまたプロンテラ南の広場にもいっぱい人戻ってくるよね」
食堂で紅茶を飲みながらネリスが一人ごちた。
「そうねぇ・・・、私のギルドの面々も集まらなくなってから1年ぐらい経つわぁ。まぁ南に行けば誰か彼か知り合いいるからなぁ。また顔を出しとこ」
「いっそ新しいギルドに参加すればぁ」
姉の顔を見ることもなくつぶやくルシア。クリシュナも少なからず考えていたことなので、苦虫を噛みしめたような顔で天井をみた。
「それにしても・・・、そろそろ武器も新調したいとこだねぇ」
「伯母さん何にするの?」
「閃光の爪。今の私なら扱えるはず。セラフィーにでも頼んでおくかねぇ・・・」
ふーんと紅茶を飲み干すネリス。防具はともかく、武器に関してはホワイトスミスになったセラフィーの仕事になる。無論過剰精錬が絡んでるからだ。
「伯母さんずっとそのフィンガーだしね」
「そうよ。今のところそんなに困ってはいないけど、なんとなくね・・・」
クリシュナはさらしの巻き終わりを確かめるように胸を両手でたゆんたゆんと揺らしてみた。
「ちゃんと締まったようね」
「伯母さんいいなぁ、胸大きくて」
相変わらず胸の大きさを気にするネリス。自分の胸のふくらみを見てはため息をこぼす。
「フラウディッシュ家の遺伝は諦めたほうがいいわよ。姉さんは例外だけどね」
「そうだねぇ。うちの家系を辿れば、胸が大きい子はみんな母親似だしねぇ」
「うぅ・・・」
今にも泣き出しそうなネリス。ルシアの言葉に実感がわいてくる。
「ま、あんたはまだ若いんだし、もう少し様子をみればぁ」
ネリスの顔を見ずにさらっと答えるルシア。そんな伯母に何も言えずうつむくネリスだった。
「だいぶグリフォンの扱いに慣れてきたな」
「はい、リューさんの指導の賜物です」
「世辞はいらないよ」
グリフォンを平行に飛ばしながら、リューディーはヴァーシュのグリフォンをじっと見る。
「そろそろモロクに戻ろう。パラディン部隊との合流の時間だ」
「はい」
二人は揃ってソグラト砂漠を北上し始めた。
二人に課せられた使命は、今モロクで行っている異世界調査の様子を見に来たマスタークルセイダーの護衛兼新米パラディン、ロイヤルガードの育成指導である。
「分隊長! こちらの演習も終わりました」
「ご苦労、モロクに戻るぞ」
リューディーは離れて演習を行っていた二人のRGと合流しモロクへとグリフォンを羽ばたかせる。リューディーいわく、「隊長って柄じゃないんだが・・・」らしい。
モロクにつくとパラディンの部隊と合流を果たしマスタークルセイダーに演習の報告をするリューディー。それを遠目に見つめながら、ヴァーシュは配給されたりんごジュースを飲みながら汗を拭く。
いくら三カ国同盟で協力し合ってるとはいえ、緊張の取れない間柄、マスタークルセイダーも冒険者やプロンテラ軍の調査報告は気になるらしい。
「これよりパラディン部隊は私と共にプロンテラに帰城する。ロイヤルガード部隊は追加演習としてフェイヨンよりプロンテラまで飛行訓練を言い渡す。よいな分隊長」
「はい」
リューディーはマスタークルセイダーに敬礼をすると、休憩中のRG部隊をまとめる。
「聞いてのとおりだ。これよりRG部隊は追加演習に入る。カプラサービスでのフェイヨン移動後、時空の裂け目を避けプロンテラまで北上する。全員騎乗!」
『はい!』
「ただいまー」
「ルア姉おかえりー」
「なんだ、ヴァーシュはまだ帰ってないんだ?」
ルーンナイトの鎧を脱ぎながら食卓につくル・アージュ。そんな彼女の前にフレアがホットミルクを差し出す。
「クリシュナ伯母さん達は?」
「おふろー」
「あんたは?」
「私はルア姉とヴァーシュ姉と一緒に入るー」
「そう」
食卓につきホットミルクを飲むル・アージュ。
そんなおり、外からバッサバサと羽音が聞こえてくるどうやらヴァーシュが帰ってきたようである。
「ただいま」
「おかえりヴァーシュ。遅かったわね」
ヴァーシュはRGの鎧のまま食卓につく。そんな彼女の前にもフレアがホットミルクを差し出す。
「モロクでの任務の後、フェイヨンからプロンテラまで北上してきましたから疲れましたわ」
「飛んできただけじゃないの?」
「森林地帯での低空飛行とかしてきたから気疲れしちゃったわ」
「へー・・・」
ホットミルクを飲み干し「ふぅ」っとため息をつくヴァーシュ。
「着替えてくる」
「私もー」
ヴァーシュとル・アージュが自室へと戻っていく。それとほぼ同時にクリシュナたちがお風呂からあがってきた。
その後若い衆3人がお風呂へ入り、夕食をとって眠るといういつもの夜を迎えるのであった。
「わかってはいたけど、やっぱりこの格好は寒いわ」
修羅のいでたちで暖炉の火にあたるクリシュナは、胸のさらしを巻きなおしながら身震いした。
そんな姉の姿を見ることもなく、プロフェッサーになったルシアは相変わらず今で読書に励んでいる。
「異世界の調査も終わったんならまたプロンテラ南の広場にもいっぱい人戻ってくるよね」
食堂で紅茶を飲みながらネリスが一人ごちた。
「そうねぇ・・・、私のギルドの面々も集まらなくなってから1年ぐらい経つわぁ。まぁ南に行けば誰か彼か知り合いいるからなぁ。また顔を出しとこ」
「いっそ新しいギルドに参加すればぁ」
姉の顔を見ることもなくつぶやくルシア。クリシュナも少なからず考えていたことなので、苦虫を噛みしめたような顔で天井をみた。
「それにしても・・・、そろそろ武器も新調したいとこだねぇ」
「伯母さん何にするの?」
「閃光の爪。今の私なら扱えるはず。セラフィーにでも頼んでおくかねぇ・・・」
ふーんと紅茶を飲み干すネリス。防具はともかく、武器に関してはホワイトスミスになったセラフィーの仕事になる。無論過剰精錬が絡んでるからだ。
「伯母さんずっとそのフィンガーだしね」
「そうよ。今のところそんなに困ってはいないけど、なんとなくね・・・」
クリシュナはさらしの巻き終わりを確かめるように胸を両手でたゆんたゆんと揺らしてみた。
「ちゃんと締まったようね」
「伯母さんいいなぁ、胸大きくて」
相変わらず胸の大きさを気にするネリス。自分の胸のふくらみを見てはため息をこぼす。
「フラウディッシュ家の遺伝は諦めたほうがいいわよ。姉さんは例外だけどね」
「そうだねぇ。うちの家系を辿れば、胸が大きい子はみんな母親似だしねぇ」
「うぅ・・・」
今にも泣き出しそうなネリス。ルシアの言葉に実感がわいてくる。
「ま、あんたはまだ若いんだし、もう少し様子をみればぁ」
ネリスの顔を見ずにさらっと答えるルシア。そんな伯母に何も言えずうつむくネリスだった。
「だいぶグリフォンの扱いに慣れてきたな」
「はい、リューさんの指導の賜物です」
「世辞はいらないよ」
グリフォンを平行に飛ばしながら、リューディーはヴァーシュのグリフォンをじっと見る。
「そろそろモロクに戻ろう。パラディン部隊との合流の時間だ」
「はい」
二人は揃ってソグラト砂漠を北上し始めた。
二人に課せられた使命は、今モロクで行っている異世界調査の様子を見に来たマスタークルセイダーの護衛兼新米パラディン、ロイヤルガードの育成指導である。
「分隊長! こちらの演習も終わりました」
「ご苦労、モロクに戻るぞ」
リューディーは離れて演習を行っていた二人のRGと合流しモロクへとグリフォンを羽ばたかせる。リューディーいわく、「隊長って柄じゃないんだが・・・」らしい。
モロクにつくとパラディンの部隊と合流を果たしマスタークルセイダーに演習の報告をするリューディー。それを遠目に見つめながら、ヴァーシュは配給されたりんごジュースを飲みながら汗を拭く。
いくら三カ国同盟で協力し合ってるとはいえ、緊張の取れない間柄、マスタークルセイダーも冒険者やプロンテラ軍の調査報告は気になるらしい。
「これよりパラディン部隊は私と共にプロンテラに帰城する。ロイヤルガード部隊は追加演習としてフェイヨンよりプロンテラまで飛行訓練を言い渡す。よいな分隊長」
「はい」
リューディーはマスタークルセイダーに敬礼をすると、休憩中のRG部隊をまとめる。
「聞いてのとおりだ。これよりRG部隊は追加演習に入る。カプラサービスでのフェイヨン移動後、時空の裂け目を避けプロンテラまで北上する。全員騎乗!」
『はい!』
「ただいまー」
「ルア姉おかえりー」
「なんだ、ヴァーシュはまだ帰ってないんだ?」
ルーンナイトの鎧を脱ぎながら食卓につくル・アージュ。そんな彼女の前にフレアがホットミルクを差し出す。
「クリシュナ伯母さん達は?」
「おふろー」
「あんたは?」
「私はルア姉とヴァーシュ姉と一緒に入るー」
「そう」
食卓につきホットミルクを飲むル・アージュ。
そんなおり、外からバッサバサと羽音が聞こえてくるどうやらヴァーシュが帰ってきたようである。
「ただいま」
「おかえりヴァーシュ。遅かったわね」
ヴァーシュはRGの鎧のまま食卓につく。そんな彼女の前にもフレアがホットミルクを差し出す。
「モロクでの任務の後、フェイヨンからプロンテラまで北上してきましたから疲れましたわ」
「飛んできただけじゃないの?」
「森林地帯での低空飛行とかしてきたから気疲れしちゃったわ」
「へー・・・」
ホットミルクを飲み干し「ふぅ」っとため息をつくヴァーシュ。
「着替えてくる」
「私もー」
ヴァーシュとル・アージュが自室へと戻っていく。それとほぼ同時にクリシュナたちがお風呂からあがってきた。
その後若い衆3人がお風呂へ入り、夕食をとって眠るといういつもの夜を迎えるのであった。
by lywdee | 2013-11-12 14:09 | Eternal Mirage