Eternal Mirage(208)

 季節は夏から秋へと移り変わり、もうじきハロウィンが始まるであろう世界の端くれ、ポートマラヤでも祭り一色になり始めていた。
 そんな中、ルーンナイト「ル・アージュ」はソーサラー「ルシア」とともにバリオフォレストにいた。
「さぁ、課題の成果をみせてもらいましょか」
「うん、まずはどうすればいい?」
「そうねぇ、時間測りたいからまずはエンチャントブレードなしで戦ってもらうか」
「はーい」
 ルシアに言われるままル・アージュは、オーラブレードとコンセントレーションだけ発動してブギスギス1匹を相手に戦い始める。
 途中オートスペルの発動があったがそれでも無傷でブギスギスを倒す。
「約1分か・・・、じゃあ次はエンチャントブレード発動させて」
「はーい」
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 ル・アージュは言われるままエンチャントブレードを発動させてまたブギスギスと戦う。
「ふーん、約30秒か。ASの発動率もまぁまぁだし、魔力が上がってるからエンチャントブレードの効果もバカにならないわね」
「叔母さん、今度はどうする?」
「そうねぇ・・・、ものは試しで支援してあげる。それで戦ってみて」
「支援・・・?」
 いぶかしげるル・アージュに近づくルシア。懐からはレッドブラッドを一つ取り出す。
「フレイムランチャー! ストライキング! はいこれで戦って」
 ルシアが支援という名の付与をかけて、ル・アージュをもう一度ブギスギスに対面させる。
 そしてル・アージュが戦い始めると同時に、ルシアは「ボルケーノ!」と火属性の力場を発生させた。
「これで20秒弱か・・・、まぁまぁね。これでアークビショップの支援の25%ぐらいの差か・・・。ふむふむ・・・」
 ルシアはル・アージュの戦いを分析しながらもなにかメモを取り始める。
「今度は兄さん呼び出して素のルーンナイトの攻撃力見なきゃね」
「え? 親父呼ぶの・・・?」
「安心しなさい、ルアは一緒じゃないから喧嘩することもないでしょ?」
「だったらいいけど・・・」
 そうこう言いながら二人は1時間ほどバリオフォレストにいた。
 ルシアはル・アージュの戦闘を分析しながらブツブツといいなにやらメモを取り続ける。
「よし、ルアの戦果はこんなものね。あとは素のルーンナイトの戦果見なけりゃ対象になるものがない。兄さんはオートスペル型じゃないんでしょ?」
「たぶんね」
「だったらパルティナ連れて行くって言えば兄さんも断れないはず。今度連れ出そう」
 ル・アージュはブツブツとつぶやくルシアを見て、ただ単に知的好奇心を埋めようとしてるだけだと思った。

 プロンテラに帰ると、ル・アージュはルシアと別れた。騎士団への報告があるからだ。
 一応ル・アージュの所属は遊撃部隊で、冒険者としての一面が強いがそこは自由さが売りの部隊だ。もちろん騎士団への登録はされているので、有事の際は騎士団の管轄にはいる。そのため大規模作戦や密偵ということになれば断れない立場は否めない。
 まぁそんな大事は滅多にないが、ル・アージュは一応いつ呼ばれてもいいように鍛えてはいる。
 今回の調査というか検証に至っては、ルシアが騎士団に直接出向いてル・アージュを連れてくと断っての旅だった。
 そしてル・アージュが騎士団詰め所での報告を済ませて女所帯に帰る道のり、プロンテラ城の手前で今まさにグリフォンで飛びだとうとしてる銀髪のロイヤルガードの姿を見た。
(あれってもしかして・・・?)
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「あら、ルア、奇遇ね」
「やっぱヴァーシュか。今日は一人?」
「うん。りゅーさんなら今日は新人パラディンの指導でグラストヘイムよ」
「グランドクロス部隊かな?」
「たぶんね」
 二人はそのまま並走して女所帯に帰ろうとする。すると、女所帯の前でワープポータルの残光が立ち上っていることに気付く。
「あらお二人さん、今帰ってもお昼ご飯ないよ?」
「どうゆうこと? クリシュナ伯母さん」
「フレアが風邪ひいちゃってね、お昼は街で食べてきたのさね」
「ネリスも?」
「うん」
 ワープポータルから出てきたのはクリシュナだけでなくネリスも一緒だった。どうやら二人で食事してきたらしい。
「ルシア叔母さんは?」
「今頃どっかでご飯食べてんじゃない?」
 クリシュナはそう言うと、ネリスとともに女所帯に入っていく。
「あんたたち二人もどっかで食事しときなさい。晩御飯はルシアが作るみたいだから、その辺考えてお昼食べてきなさい」
「ハーイ」
 ル・アージュとヴァーシュは、厩舎にドラゴンとグリフォンをつなぎ、二人でプロンテラ市街へと歩き出した。
「フフフ、ルアと外食なんていつ以来だろうね?」
「そうだね。ご飯はいつもフレアさんが作ってたからねぇ・・・」
 二人は何気ない会話をしながらプロンテラ市街につく。
「何食べる?」
「うーん、なにか軽いものがいいかな? ルシア叔母さんなら肉料理だろうから、軽いものが食べたい」
「じゃあ、そこのバーにでも入ろっか?」
 とりとめのない会話の後、二人は酒場に入った。
 すると二人の背後にいきなり現れる女性が声をかけてきた。
「あらお二人さん。奇遇ね、これからお昼?」
「ネイ姉さん! いつの間に・・・?」
「これでもギロチンクロスだからね、癖で気配消しちゃうのよねぇ・・・」
 照れ笑いをするネイ。
「私も今からご飯なんだ。一緒にどう?」
「いいですよ。ネイ姉さんとのご飯なんて滅多にないから」
               
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「よし! 何食べる? お姉さんがおごって差し上げよう」
「え? いいんですか?」
「お給料はいったはいいけど、使い道ないのよねぇ」
「ではありがたくいただきます」
 こうして3人での昼食となったのだが、会話はもっぱら狩りの話や仕事の話だった。

 3人がご飯を食べ終えても話はまだ続いていた。
 年始以外滅多に会わないネイだから、妹の話や最近の女所帯の話は新鮮だった。
「え? ヴァーシュ、彼氏できたの?!」
「彼氏だなんて・・・、そんな・・・」
 照れたヴァーシュは、槍の代わりにフォークを片手でクルクルと回している。
「へー・・・羨ましいわね、私なんて出会いそのものがないわ」
「ネイ姉さんもですか? 姉さんもスタイルいいし、引く手あまたかと思った」
「だって、出会いって言ったってみんなアサシン系よ? 影で何してるかわかんないわよ」
 笑いながらお酒を飲むネイ。その言葉に力なく「ハハハ・・・」と答えるヴァーシュとル・アージュ。
 そんなやり取りを小一時間と時は流れ、3人は女所帯にきた。
「お姉ちゃんお酒くさーい」
「ネリスー、お酒は大人のたしなみよー」
 ネリスに絡むネイの姿は、中年の男が娘に絡むような感じに見えた。
「ネリス、ネイを家まで送ってやんな」
 クリシュナが言うと、居間にいたルシアが「私が連れてく」と言って立ち上がった。
 そしてネイの首根っこをつかむと、ずるずると引きづって女所帯を出ていった。

 その夜の事・・・

「なんで! なんでなの! ポリンの数が減らない!」
 ル・アージュは草原いっぱいのポリンに囲まれていた。
 斬っては分裂するポリン。ル・アージュは囲まれないようにイグニッションブレイクを仕掛けても、倒すどころかどんどん分裂していく。
「ポリンが! ポリンがぁ・・・!」
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 大量のポリンが一斉に襲ってきてタコ殴りに合うル・アージュ。
 次の瞬間、大量のポリンに押しつぶされるところでガバッと・・・と目覚めた。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、夢?」
 真夜中に目覚めたル・アージュ。
(私・・・、ポリンに何かしたっけ?)
 夢で起きた出来事に、記憶を辿るル・アージュだったが、身に覚えのない出来事だから理解に苦しんだ。
 ベッドから立ち上がってカーテンを開けるル・アージュ。外はうっすらと明るくなってきている。どうやら早朝のようだ。
(変な夢・・・)

(ネイ姉さん綺麗だったなぁ・・・。私も髪伸ばそうかしら・・・)

 二度寝しようとしたル・アージュだったが、先ほどの悪夢が気になるのか、寝ることのできないル・アージュだった。

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  by lywdee | 2017-10-10 12:34 | Eternal Mirage | Comments(0)

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