Eternal Mirage(8)

「はぁ・・・」
 プロンテラの露店街を一人歩くル・アージュ。足取りは重く、ため息ばかりが何度も出る。
 彼女にとって、クリスマスと今時期はもっともため息の出る季節である。
(バレンタインなんて嫌いだ・・・)
 そう、世間では今バレンタインの時期なのである。そして街中ではカップルがチョコレートを渡している光景がちらほらと目に入る。そんな光景を横目にするたびル・アージュはため息ばかりをこぼすのであった。
「ただいまー」
 買い物袋をテーブルに置き、椅子に腰を下ろして頬杖をつく。
 しばらくするとフレアが2階から下りてくる。両手で何枚かのシーツを抱えている事から察するに、これから洗濯でも始めるのだろうとル・アージュは思った。
「フレアー、みんなは?」
「ヴァーシュ様はリューディー様の所へ槍を受け取りに。クリシュナ様とネリス様は廃鉱ですわ」
 洗濯物を一箇所にまとめてテーブルの上の買い物袋を取るフレア。そのままキッチンへと向かい火にかけてあったポットを取り、ル・アージュの目の前でカップにチョコレート色の液体を注ぐ。
「ホットチョコレートですわ。体が温まりますよ」
 差し出されたカップからチョコレートとミルクの匂いが立ちのぼる。
 ル・アージュが一口飲んでみると適温らしく、そのままゴクゴクと飲み干す。体の芯がほんのり暖かくなるのを感じる。
(女所帯でチョコレートもないだろうに・・・)
 内心思ったル・アージュだがおいしかったのかもう一杯ホットチョコレートを取りに立ち上がる。
「ただいまー! ル・アージュいる?!」
 あわただしくドアを開けて入ってきたのはヴァーシュだった。手にはこのあいだセラフィーから受け取ったはずのゲイボルグが握られている。
「その槍、この間貰ったヤツじゃないの?」
「そうよ。リューディーに精錬任せて強度と切れ味が増したの!」
(過剰したのか・・・。リューディーもよくやるわ・・・)
 嬉しそうに槍を抱きしめるヴァーシュを見て、ル・アージュは「ハハハ・・・」と力なく笑った。
「ル・アージュのドラゴンスレイヤーはもうちょっと時間かかるって」
「そうらしいね・・・」
 もう一杯ホットチョコレートを飲み干すと、ル・アージュは騎士の鎧を身にまとう。
「気分転換にラヘル行って試し斬りしてくるわ」
 そう言ってル・アージュは、何か吹っ切れたかのようにヴァーシュと入れ違いで家を出ていくのであった。

 その頃ネリスは・・・。

「ふみ~ん・・・、叔母さんまだなの~?」
「いいからさっさと戦利品カートにつっこみなさい!」

 廃鉱の奥でクリシュナの戦利品をカートに積みながらべそをかいていた。
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  by lywdee | 2009-02-17 13:31 | Eternal Mirage | Comments(0)

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