Eternal Mirage(27)

 薄暗い回廊、かび臭い室内、リューディーはグラストヘイムの騎士団の中をペコペコを走らせていた。
「グランドクロス!!」
 巨人族の亡霊をひきつけてリューディー必殺のグランドクロスが炸裂する。身体に負担のかかる中、数体のレイドリックを光の結界で焼き続ける。
 肉体を持たないレイドリックがガランという音を立てて一瞬のうちに鎧だけ残して崩れ落ちていく。
「エルニウム出ないなぁ」
 レイドリックの残骸から出たブリガンを拾いながら愚痴をこぼすリューディー。すでに3時間は騎士団内に篭っているが、お目当てのエルニウムがなかなか出ないのでため息が後を絶たない。
 セラフィーにエルニウムの調達を頼まれていなければ他の狩場に出向きたい気持ちが沸々とわいてくる。
 セラフィー曰く、「エルニウムは買うものじゃない! 出すものだ! おまえがな」と、半ば強引な台詞で騎士団にきているのである。
「目標の400個まであと70個ぐらいか・・・」
 手元の袋には2,3個ほどエルニウムがあるが、それでも満足できずに騎士団内にいるのである。
 正直クルセ時代から通っている騎士団。一昔はエルニウムで資金調達したものだが、現在は相場もかなり落ち、商品としての価値が薄れている。今じゃ防具の過剰に残してあるぐらいだ。
 昔はジョーカーがいて、狩りの効率を妨げられたものだが今はいなくなった分狩りに充分集中できている。それでも深淵の騎士やブラッディナイトとの戦闘は避けている。回復剤も保険で持ち合わせているが、よほどの事がない限り自己ヒールで回復できるので、移動費さえ稼げれば収支はプラスになる。
 そんな騎士団での狩りは、無理せず自分のペースで戦っている。
 最近は精神力回復の効果のあるお菓子が売られているが、効果の程は気休め程度なので使った事はない。正直なところ試してみたいが荷物がかさばるので買う気になれない。
 まぁプリーストのマグニフィカートをかけてもらいたいところだが、もしもの事があって避難しなければならない事もあるので、あまりギルドメンバーのプリーストに声をかけづらいし死なせない保証もないので、騎士団にくるのは一人身のほうが効率がいいのが実情なのである。
「今日は不調だな・・・。帰るか」
 荷物袋から蝶の羽根を取り出し、天に掲げると一瞬のうちにプロンテラまで移動する。
 そしてカプラの倉庫に戦利品を預けると自宅へとペコペコを走らせた。

「おかえり。エルニウムは出たか?」
 セラフィーの出迎えのもと、リューディーは無言で首を左右に振る。
「まぁなんだ・・・、とりあえずご苦労様」
「とりあえず倉庫調べたが、お前さんの言うとおり400個たまるまであと70個ぐらいだ。地道に稼いでいくさ・・・」
「頼りにしてるさ。俺じゃエルニウム稼げないしな」
 セラフィーがテーブルの上においてあるリンゴを取ると、リューディーに向かって軽く投げる。それをパシッっと受け取るとそのままかじりつくリューディー。
「俺ももう少し装備揃ったら、エルニウム原石だけどなんとか稼ぎに廃鉱にでもいくさ」
「それはそうと、シル・クスはどうなんだ?」
「あいつはあいつでしっかりグレイトネイチャ稼いでくれてるさ。まぁ砕く作業でどれだけ時間食うことやら・・・」
 苦笑い気味に力なく笑うセラフィー。それもそのはず、以前クリシュナがモンク時代に稼いだネイチャが14Kほどたまり、ネリスがそれを砕いて売ってを繰り返していたら1日仕事だったと聞いているので、正直このままのペースでネイチャを稼がれると砕き売りでどれだけ時間がかかるか見当もつかない。
「まぁ今のところ100Mはあると思う。問題はそのあとだがな・・・」
「装備の調達と精錬、頭痛の種は絶えないな」
「まぁそういうこった」
 そうこう話しをしているとドアを叩く音が室内に響いてきた。
 リューディーがドアを開けるとヴァーシュとル・アージュが揃って立っていた。
「二人揃ってどうした?」
 リューディーが珍しそうに二人をみる。この男所帯に顔を出すのはほとんどクリシュナかル・アージュだけだからである。
「買い物ついでによってみた」
 ル・アージュがそう答えるとセラフィーがため息をつく。
「ドラゴンスレイヤーもクレイモアもまだ揃ってないぞ。そっちだってカード揃ってないんだろ?」
「そうなんだ・・・。まぁ今日は装備の話じゃないんだ」
「・・・?」
 ル・アージュはそういうと少々重そうな袋をセラフィーに差し出した
「なんだこれ?」
 セラフィーが早速袋を開けると、中には黒い球体がたくさん入っていた。
「エル原か・・・。クリシュナさんからか?」
「うん、セラフィーに渡しといてって頼まれた」
「そうか・・・、ありがたく頂くよ」
「じゃあ私たち買い物あるからまた今度くるよ」
 そういってその場を去るル・アージュとヴァーシュ。
「こりゃ期待されとるなぁ・・・」
 ため息混じりにドアを閉めるセラフィー。その後溜まったエルニウムとオリデオコンの精錬に行ったのは言うまでもない。
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  by lywdee | 2009-06-30 16:59 | Eternal Mirage | Comments(0)

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