eternal Mirage(29)

 ある日の午後、セラフィーは女所帯の家の扉前に来ていた。
(ルアのペコが繋がられている。・・・ということは狩りには行ってないという事か)
 厩舎のペコペコを横目にコンコンと扉を叩くセラフィー。真っ先に出てきたのはフレアであった。
「セラフィー様こんにちわ。何か御用でも?」
「あぁ、ルアはいるのかい?」
「ル・アージュ様ならヴァーシュ様と買出しに出かけております。まもなく戻られると思われますので中でお待ちになられては?」
 そう言うと、セラフィーを家の中へと迎え入れようとするフレア。
「それじゃお言葉に甘えて・・・」と、カートの中から二振りの剣を取り出し中に入るセラフィー。
「あ、セラフィーさんこんにちわ~」
「よう、元気だったか?」
 居間でくつろいでたネリスがセラフィーに声をかけた。そしてまじまじとセラフィーの持つ二振りの剣に視線をむけた。
「その剣、もしかしてルア姉の?」
「あぁ、頼まれてたものが出来たんでな。とりあえず第一段階の報告しにきたついでだ」
 食堂の椅子に座るセラフィーにフレアが紅茶を差し出す。ネリスもセラフィーが持ってきた剣に興味があるのか、セラフィーの隣の椅子に腰を下ろした。
「ねぇ、抜いてみてもいい?」
「かまわんよ」
 紅茶を口にしながらセラフィーが答えると、ネリスは鞘から剣を抜いてジーっと見た後もう一振りの剣も同じように抜いてみた。
「二つとも属性剣じゃない・・・、これってクレイモアでしょ? 何が違うの?」
 まくし立てるように質問するネリス。
「ル・アージュが帰ってきたらわかるさ」

 数分後

「フレアー! 買出し終わったよー」
 買い物から帰ってきたル・アージュとヴァーシュがフレアを大声で呼ぶ。そして視線の先にはセラフィーがいる。
「あれ、なんでセラフィーさんがいるの?」
 鳩が豆鉄砲を喰らったような視線でセラフィーを見たル・アージュ。よく見るとテーブルに二振りの剣が置かれている。
「お帰りなさいませ、ル・アージュ様、ヴァーシュ様」
 少々遅れてフレアが二人を迎える。そしてテーブルに置かれた食材を整理し始めた。
「まさかこれって・・・」と、椅子にも座らずル・アージュは剣を一振り抜いてみた。そして同じようにもう一振りの剣も抜いてみる。
「もしかしてスロットエンチャントしてくれたの? しかも精錬まで済ませてある・・・!」
「そういう事、ドラゴンスレイヤーは金かかるから、そこまで金のかからん方を優先した」
「きゃー! ヴァーシュ、見て見て! あたし用の過剰装備よ!」
 二振りの剣を懐に抱きヴァーシュに見せる。
 とても嬉しいのか、あきれるネリスとヴァーシュを尻目にくるくると回ってみせるル・アージュ。そして落ち着いた頃、一つの疑問が生まれた。
「ねぇセラフィーさん。なんでSEの過剰クレイモアが二つなわけ?」
 素朴な疑問である。
「特化作るんだろ? 一本は中型、もう一本は大型特化作れよ」
「中型はわかるけど、大型特化あたし持ってるわよ?」
「ツーハンドソードでだろ。それ売って大型特化作り直せよ」
 頬杖ついているセラフィーの台詞に、ル・アージュはハッとした。
 確かに現在持っている大型特化はツーハンドソードだ。だがクレイモアなら持ち替えがしやすくなる。それを見越しての二振りだと理解した。
「いいなぁ・・・、私も過剰装備ほしいよぉ・・・」
 ネリスがテーブルに突っ伏して愚痴をもらす。
「あんたはすでに過剰防具と中型装備もってるでしょ! おまけに使いまわしも出来ないんだから我慢しなさいな!」
 まくし立てるようにネリスに怒鳴るル・アージュ。確かにネリスは過剰防具やそれに伴うカードも使用してある。ただし武器だけは過剰されずに中型特化になっている。
 ル・アージュの装備は一部ヴァーシュとの兼用になっているぶん、ル・アージュが怒鳴るのも無理が無い。
「落ち着け二人とも。それにネリス、お前さんの武器を過剰するのはいいが、露店にゃ稀にしか出ないし、調達したくても物が物だ。蛙退治に行けるヤツが限られてる。今は我慢しろ」
 そう言ってネリスを諭すと、セラフィーはやおら立ち上がり扉の前まで行く。
「とりあえず頼まれ物は確かに渡したぞ。残りはまだまだ先だから期待せずに待ってろよ」
 それだけ言うと、セラフィーは振り向きもせずに女所帯の家を出て行くのであった。
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  by lywdee | 2009-07-14 09:41 | Eternal Mirage | Comments(0)

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