Eternal Mirage(35)

 陽も落ち月が顔を出し始めた頃、セージ「ルシア」が女所帯のドアを申し訳なさそうに静かに開ける。
「ただいまー」
「ただいまーじゃないでしょ!」
 帰ってきたばかりのルシアにクリシュナが叫ぶ。
「身内じゃなきゃ殴ってるわよ!」
「いや、姉さんに殴られたら死ぬって・・・」
「・・・で、この3日間どこをほっつき歩いてどんな厄介ごとに首を突っ込んできたわけ?」
 呆れた様子で居間のソファーに腰をおろすクリシュナ。食堂ではネリス、ヴァーシュ、ル・アージュが食事を摂っていた。
「いやーそれが・・・」
 ルシアもクリシュナと向かい合うようにソファーに座りながら、この3日間でおきた出来事を話しはじめる。

 簡潔にまとめるとこうだ。
 シュバルツバルド共和国で修行していたところ大統領に仕事をもらい、リヒタルゼンで生体研究所に忍び込んだり、飛行船で荷物の番人のアルバイトしたり、モスコビアでクジラ島を探したり、アルナベルツで火山に行ったりと、まともに話せば1日ぐらいかかりそうな内容であった。

「ネリスー、あとで報酬でもらった箱類処分頼むねー」
「はーい」
 ひとしきり話し終わると、ルシアがネリスにそう言うとネリスが振り向き返事をする。
 するとドアを叩く音が居間に響いた。
「誰かしら? こんな時間に・・・」
 クリシュナがドアを開けると、そこにはリューディーの加入しているギルドのクラウン「よろぴー」がいた。
「こんな時間にどうしたの?」
「いやー、クリシュナさんに頼みたい事があってきました」
「もしかして盗作?」
 クリシュナの問に頷くよろぴー。
「そういえばローグいたもんね。いいわよ。ついてってあげる」
 そういって出かけるクリシュナ。
「フレア、私にも御飯頂戴」
 フレアの料理に舌鼓を打ちながら、ルシアは何も言わず食べ始める。
 その姿を見てネリスが素朴な疑問を投げかけた。
「ルシア叔母さんってクリシュナ叔母さんと似てないよね」
「そりゃあ父親違うもの。似てなくても不思議じゃないわよ」
「むしろアタシの親父との方が似通ってる」
 二人の会話にル・アージュが混ざる。
「アレス兄さんとは三つ子だもの、そっちは似ててもしょうがない」
 そんな雑談が終わると、ルシアは食事を終わらせ、さっさとクリシュナの部屋に行ってしまった。
「叔母さんの放浪癖は聞いてたけど、あそこまでいくと尊敬に値するわ」
「放浪癖じゃないけど、クリシュナ叔母さんと似通ったところはあるわね」
 ル・アージュとヴァーシュが去っていったルシアの事を話し始める。
 その後すぐクリシュナが一人で帰ってきた。
「叔母さんおかえりー」
「ただいま。危なく殴り倒しちゃうとこだったわ」
 クリシュナの言葉に血の気が下がる3人。
「ルシアは?」
「叔母さんの部屋に戻りましたわ」
 ヴァーシュが指差しながら答える。
「説教は明日だな。もう眠いわ・・・」
 目をこすりながら自室へと戻っていくクリシュナ。その姿を見送るとル・アージュが口を開いた。
「アタシ達ももう寝ようか・・・」

 そして女所帯の明かりが消えるのであった。
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  by lywdee | 2009-08-25 11:42 | Eternal Mirage | Comments(0)

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