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Eternal Mirage(45)

「セラフィー、ちょっと話がある」
 リューディーが工房に足を運んでセラフィーに問い始めた。
「倉庫のエルニウムが減ってるぞ。何に使ったのか納得のいくよう説明しろ」
「あぁ、ちょいと頼まれものの過剰をね・・・」
 ばつが悪そうに答えるセラフィー。力なく笑ってはいるが反省はしているようだ。
「ちょっとルシアさんに頼まれた盾の過剰でちょっと使った」
「ほう、30個でちょっとか? えらく羽振りがいいな」
「ははははははははは・・・」
 問い詰められ力なく笑うセラフィーだが、リューディーもため息一つつくとそれ以上問い詰める事はしなかった。何故なら、明日は我が身だからでもあるからだ。
 倉庫にはリューディーが使うために買いだめされた神の使者がある。他にも修理に修理を重ねた防具も新調しなければかなり限界に近づいている。
「まぁ予定通りの数が溜まるまで騎士団には行く。お前ももう少し精錬には自重してくれ」
「わかってる。当面は資金繰り待ちさ、シル・クスが帰ってくるまではな」
 工房の片隅に置かれた椅子におもむろに座りタバコに火をつけるセラフィー。女所帯の装備の過剰に使われるエルニウムの数を考えると少々胃が痛いところではあるが、装備や雑貨など揃える事を考えると当分胃痛に苛まれるのは目にみえている。
「出るのは金とため息ばかりか・・・」
 自嘲気味にため息をついてタバコを消すセラフィー。
 リューディーもため息をついて鎧を装着する。
「とにかくエルニウムはなんとか溜める。あとはシル・クスが資金繰り終わるのを待つだけだな」
「悪いな、いつも面倒な事を頼んで・・・」
「お前ほどじゃない、気にするな」
 ポンとセラフィーの肩を叩くと、リューディーは外に出てペコペコにまたがる。そしていつものように出かけていった。
(はたしてシル・クスの稼ぎがどれだけいくものだろうか・・・?)
 資産的に厳しくなってきたせいか、セラフィーはため息をつきながら工房の片隅に置かれたドラゴンスレイヤーを見つめた。
(ル・アージュの期待にも応えたいところだが、いつになったら苦労が減るのやら・・・)

 一方、女所帯では・・・。

「ルシア、あんたの頼みごと聞いてるセラフィーが嘆いていたわよ」
「そう?」
「あんたも自分の装備やカードぐらい自力で出すようにしないと・・・」
 ソファーで寝そべるルシアにクリシュナが問いかける。
「私が用意できそうなものってほとんどないわよ? それにあとシルバーローブが一着あれば特に装備で困る事ないもの。私の狩りなんて装備と雑貨揃わないと何処にも行けないもの・・・」
 ルシアの返事にため息をつくクリシュナ。
 姪っ子達はそれぞれの狩場でアイテム探ししている中、ルシアだけは狩りにも行かず、毎日のように図書館に出向いているだけだ。
 たまに出かけることがあっても、狩りだとすぐに帰ってくる。姉妹とはいえ、ルシアの行動にはついていけないクリシュナが重いため息をつく。
「とにかく! 装備揃ったらあんたも資金繰りとかアイテム集めに出てもらうからね!」
 クリシュナがきつくルシアに言い聞かせる。
 どうやら女所帯でも資金繰りの準備を始めているようである。だが実際のところ、女所帯の狩りはカード探しが担当のようになってきていた。

 はたして、彼等の資金繰りや装備の精錬でいくら飛ぶかなどわかりもしないことだった。

  by lywdee | 2009-11-04 11:48 | Eternal Mirage

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