Eternal Mirage(106)

「ようやく転生する気になったか」
 グリフォンにまたがるリューディーが、並走するペコペコを走らすヴァーシュに声をかけた。
「・・・とは言ってもまだ先の話ですわ」
「なんにせよ遅いくらいだ。まぁ気持ちはわからんでもないがな」
 2人はプロンテラ城につくとグリフォンとペコペコから降りて城内に入る。今日は聖騎士団の年頭の挨拶で呼び出しを受けたのである。
 城内はすでにクルセイダー系列の聖騎士が大挙していた。クルセイダー、パラディン、ロイヤルガードがそれぞれギルド関連で寄り集まってるようで、新米クルセイダーの勧誘をしているギルドもいるようである。
「こんな時にギルドの勧誘もないだろうに・・・」
 リューディーとヴァーシュが城内を歩み進んでいく。ヴァーシュとしてはリューディーと離れて歩くとギルドの勧誘を受けてしまいそうなので、なるべくリューディーの傍から離れるわけにはいかなかった。
「ル・アージュは騎士団の年頭の挨拶に行ってるのか?」
「ええ、多分今頃は騎士団の集合地帯に出向いているはずですわ」
「お前さんの親父殿から聞いたが、騎士団は野外集合らしいな。この寒空の中大変だな」
 歩みを止めるリューディーとヴァーシュ。気づけばかなり前列の方まできてしまったようである。
『聖騎士諸君、よくぞ集まってくれた!』
 城内にマスタークルセイダーの声が響き渡る。集まった聖騎士たちの視線が一点に集中される。
「年始からここに集まってくれた同志たちには感謝の言葉もない・・・」
「あぁ・・・、また今日も長話聞かされるんだろうなぁ」
 予測のついていたリューディーはくるんじゃなかったと正直思った。ヴァーシュはそんなリューディーを見て微笑むとマスタークルセイダーのほうへと視線を戻す。
 そして長々と話すマスタークルセイダーの話も一段落がつくと、話題は一変して異世界の話や西の異教徒達の話が挙げられる。
「・・・であるからして、各聖騎士諸君の活躍を期待している。これをもって年頭の挨拶に代えさせてもらう」
「やっと終わったか・・・」
 雛壇からマスタークルセイダーが立ち去ると、リューディーはため息一つついて城外に足を向ける。
「ヴァーシュ、帰るぞ」
「あ、リューさん待ってください」
 置いていかれると困るヴァーシュがリューディーの後を急いで追った。
「そこのクルセイダーさん、うちのギルドに入りませんか?」
「いや、うちのギルドに来ませんか? 転生まで面倒見ますよ」
「すいません、間に合ってます!」
 リューディーに追いつくまでにパラディンやロイヤルガードがヴァーシュに声をかけていくが、ヴァーシュはひたすら断ってようやくリューディーを捕まえた。
「はぁ・・・、そんなに目立つのかな? ギルドに所属してないって何故わかるんでしょう?」
「鎧とかにギルドのエンブレムがついていないからだろ? よくみりゃわかるって」
 確かにリューディーが言うとおりギルドに加入している聖騎士たちの鎧には、目立つ目だ立たない問わずギルドのエンブレムが施されている。無論、リューディーの鎧にもギルドのエンブレムが施されている。
 とにかく、城外まではリューディーとくっついて歩いていないとまた勧誘されるものだとヴァーシュは思った。
「多分ル・アージュも勧誘受けているだろうよ? いっそお前達のギルドエンブレム適当に作って、鎧にでもつけとけよ」
「考えときます」
 城内でもみくちゃにされながらもリューディの腕をつかんで離さないヴァーシュ。
「少し休もうか?」
 リューディーが城内ですいているスペースを見つけてヴァーシュを連れて行く。
 とにかく人の多い中心部から離れることができたので、ヴァーシュはようやく一息つくことができた。
「ふぅ・・・」
「人が少なくなってきたら城から出るぞ」
「はい」
 さすがのリューディーも、マスタークルセイダーの長話を聞いた後で人ごみを掻き分け歩いたせいで少々疲れていた。ヴァーシュにいたっては、ギルドの勧誘で取られた時間が響いてるようで、額に汗をかいていた。
「とりあえず転生まで予定はたっているのか?」
「はい、今春か夏までには転生できそうです」
「そうか、まぁ早くパラディンになれるように頑張れよ。お前さんは槍使いだからな、苦労するだろうがパラディンになれるようだったらフェイヨンで追い込みかけるといいさ」
 そうして2人は、小一時間会話していた。
 ヴァーシュにとっても、転生までの追い込みの話やパラディンになってからどうすればいいのか、リューディーに聞くことはいっぱいあったから、しばらく時を忘れて話し込んでしまった。
「そろそろ出ようか」
「そうですね」
 人ごみが少なくなってきたところで2人はようやく城外に出ることができた。そして預けていたグリフォンとペコペコを回収すると、お互い自分達の家路へと帰っていくのであった。
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  by lywdee | 2011-01-04 00:37 | Eternal Mirage | Comments(0)

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