eternal Mirage(113)

「ルシア、あんたヴァーシュと一緒じゃなかったの?」
 クリシュナが居間で読書にいそしんでいるルシアに声をかける。
 ヴァーシュが狩りに出かけているのに、ルシアがいることが気にかかるようでもある。
「ルシア、ちょっと聞いてるの?」
「聞いてるわよ」
 読書の邪魔をされたせいか、ルシアはちょっとムスっとしている。
「ヴァーシュもパラディンになって落ち着いたし、いつまでも子供じゃないんだから、もう私が手を貸さなくても立派に狩りしてるわよ」
 用意された紅茶を飲みながらルシアは読書を再開させる。
「もうそこまで手を貸さずとも、ヴァーシュならジオ狩り程度で困ることもないわ」
「へぇー、じかに見てるんだからもう大丈夫そうなのね。成長早いねぇ・・・」
「あの子だって元々ジオで育ってたんでしょ? 私が見る限りジオ狩りで困るなんて事はもうなさそうよ」
 姪の成長を目の当たりにしてるルシアが言うのであれば、クリシュナはそれ以上問い詰めることもなかった。
 ルシアに言わせれば、ヴァーシュに手を貸していたのは剣士時代の後半と、パラディンになってからの前半ぐらいで、中盤からは手を貸さずとも一人でジオの密集地にでも突っ込んでいったり、ポイントの取れないジオを接近戦でしとめたりするようになったので自分の出番は終わりだなと判断したようだ。
「姉さんと違って元々前衛職なんだから、接近戦で苦労することもないでしょうよ」
「それもそうね、私とヴァーシュじゃ同じ1次職でも火力が違うものね」
 ルシアの対面のソファーに腰を下ろし、フレアから紅茶を受け取り飲み始めるクリシュナ。
 フレアはそのままルシアのティーカップにも紅茶を注ぐと厨房へと無言で戻っていった。
「まぁしばらくはジオ園で狩りするんじゃないの? あの子は転生前もジオで育ったようなものでしょ?」
「そうねぇ。ヴァーシュのことだからその可能性は高いわね」
 自身もある程度成長するまでジオグラファーを狩っていただけに、クリシュナは昔を思い出すかのように紅茶を口にする。
 ル・アージュとネリスを除けば、女所帯の面々は皆ジオグラファーで育っている。ル・アージュも時々ジオ狩りに出かけることもあるから尚更である。それだけジオグラファーはお手ごろな狩りの相手でもある。
「ルアももうちょい根性入れてジオ狩りしてくれればねぇ、狩場の選択肢だって増えるものだけどねぇ・・・」
「あの子はこつこつ狩るタイプじゃないもの。それに槍だって少しかじってる程度の力量でしょ? 当分無理な話だわ」
 本を読みながらも的確なことを言うルシア。クリシュナもため息をつかずにはいられない。
 当のル・アージュはと言うと、ただいまネリスと買出しに出かけている。たぶん今頃くしゃみの一つでもしているに違いない。
「まぁ当分の間私たちが気をもんでもしかたないでしょ。こればかりは本人のやる気次第なんだし」
「そうね。私も少しは狩りしていかないと体が鈍るし、あの子達はあの子達なりに成長していくだろうさね」
 二人揃って紅茶を飲み干すと、タイミングよくフレアが紅茶のおかわりとお茶請けを用意して居間にやってきた。
 保護者2人の気苦労をよそに、子供達が勝手に育って手のかからなくなるのを待つばかりなのであった。
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  by lywdee | 2011-02-22 05:35 | Eternal Mirage | Comments(0)

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