Eternal Mirage(116)

 段々温かくなってきてもうじき桜の季節が近づくプロンテラの一角、女所帯ではいつにも増して賑やかな空気に包まれていた。
「ヴァーシュのパラディン姿ももう見慣れたものになったわねぇ」
 クリシュナはヴァーシュを見てそう言う。実際パラディンになってからはや1ヶ月が経とうとしている。
 ヴァーシュにしてみれば早くロイヤルガードになりたいせいもあるが、狩りの都合上ゆっくりとしたペースでしか成長していないのでもどかしさを感じずにはいられないようでもある。
「早くRGになりたいのはわかるけどねぇ、こればかりは手助けもしてやれないわ」
「そんな・・・。叔母様たちに迷惑はかけられませんわ」
「・・・で、今日もアインブロックにでかけるの?」
「ええ、少しでも経験増やしてRGになりたいですもの・・・」
「私は当分3次職にはならないから、ヴァーシュの方が先に3次職になっちゃうかもね」
 クリシュナとヴァーシュの会話の外で、ル・アージュは焦りにも似た感情が沸きあがっていた。
「私も早く発光したいわぁ」
 ホットミルクを飲みながらパラディン姿のヴァーシュを見つめている。
 ル・アージュにしてみればロードナイトになりたい気持ちは高まっているが、狩場が限られているのと、消耗品代の釣り合いが取れないため積極的に狩りに出かけられない気持ちが二律背反していて、その葛藤から逃れられないのでため息ばかりがこぼれていく。
 ネリスにしてみればル・アージュの狩りは消耗品代で懐事情が乏しくなるのでまだ狩りには出てもらいたくはないところ。その辺はお財布係としても慎重にならざるをえない。
 そんなネリスは倉庫から持ってきた鉱石類をチェックしている。
「何? 男所帯にでも行くの?」
 カートを持ち出そうとしているネリスをルシアが止める。
「うん、鋼鉄とか溜まったから渡してくる。ついでもあるしね」
「この間作りに行ったマーブルクッキーかい? 私も図書館に用事あるからついていくわ」
 こうしてネリスとルシアは揃って出かけていった。
 残されたクリシュナたちも、それぞれ狩りに行く支度を整える。もちろんル・アージュはお留守番組だ。
「頑張ってドレインリアーカードでも探すかねぇ」
 クリシュナはどうやらスフィンクスダンジョンへ出かける模様だ。ヴァーシュは当然のようにアインブロックへと出かけていく。
「私もラヘル辺りに出かけてくるかな」
「お弁当用意しましょうか?」
 食卓の食器を片付けながらフレアがボソッと声をかける。
「いや、そんな長居できないからいいわ。ついでに氷も持ってくるわ」
「助かります」
 ル・アージュはそう言いながら騎士の鎧を身に着け始める。どうやら狩りに出かける決心がついたようだ。
「じゃあ行ってくるわ」
「いってらっしゃいませ」
 フレアに見送られながらル・アージュは厩舎のペコペコにまたがり出かけていった。
 誰もいなくなった女所帯では、厨房で紅茶を飲み始めるフレアだけが、静かになった時間を過ごしていた。誰も知らないフレアの楽しみがここで伺える。
 小一時間厨房で静かな時間を過ごすと、食器を洗い、女所帯の全部屋のシーツを取替えにはいり、家の掃除にいそしみ始める。
 晴れ晴れとして陽気が広がり始める午後になると今度は洗濯が待っている。ルシアとネリスの昼食を用意してすぐに出せるようにすると、日差しのまぶしい裏庭で洗濯した衣服を干し始める。時折吹き抜ける風が、春の陽気を運んできて心地いい。
「ただいまー」
 洗濯物を干し終えるとネリスの声が裏庭まで響いてきた。
 洗濯籠を持ち厨房へと戻るとフレアは手早く昼食の準備を始める。支度だけ済ませていたので食卓に出すまでそう時間はかからなかった。
 そして昼下がり、ラヘルに出かけていたル・アージュが帰ってくる。ペコペコの荷物袋の中にはたくさんの氷が詰められていた。フレアはそれを受け取ると厨房の保存庫の中に新しい氷をどんどん詰めていく。
「ル・アージュ様、お昼はどうなされます?」
「ラヘルで食べてきたから大丈夫よ」
 騎士の鎧を脱ぎながらル・アージュは2階へと上がっていく。ネリスもそれに続いて自室に帰る。ルシアだけは居間で借りてきた本を読み始めていく。それを見たフレアは、厨房でお湯を沸かし紅茶の準備を始めていく。
 そしてまだ陽が傾く前に狩りに出ていたヴァーシュとクリシュナも帰ってきた。
 夜を前にしてフレアの抜かした女所帯の面々がお風呂を済ますと夕食になる。今夜はミートソースのパスタとサラダ、そしてホットミルクが用意された。
 女所帯の一日はこうしてふけていく。フレアは厨房で食器の片付けなどを終わらせると、ようやくお風呂の時間となり一人湯船に浸かって一日の疲れを落としていくのであった。
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  by lywdee | 2011-03-15 08:33 | Eternal Mirage | Comments(0)

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