Eternal Mirage(117)

 桜の開花がゆっくりと始まっていくプロンテラ。今日も女所帯ではル・アージュがフレアと留守番をしていた。
 ヴァーシュはジオ狩りに、クリシュナはスフィンクスダンジョンに、ルシアはジュノーの図書館に、あとネリスが珍しく龍の城へと出かけていた。
「私の狩り場はいったい何処になるんだろう・・・?」
 紅茶を飲みながら一息ついているル・アージュがぼそりと呟く。ここしばらく狩りに出かけていないせいか体が重く感じられる。こういうときに限ってからかう相手がいないのでなおさら気が滅入る。
 だが今日は違った。いきなりではあるが、渚 レイが女所帯にやってきた。
「ル・アージュさんはいますか?」
「いるよー」
 食卓についていたル・アージュが玄関にいる渚 レイに手を振る。
「なんか用?」
「いえ、よろしければ一緒に狩りに行きませんか?」
 それは意外な一言だった。
 渚 レイはフレアに淹れてもらった紅茶を口にすると、ビレタを脱いで小脇に抱える。
「私なんかでいいの? 壁なんてできないよ?」
「いえいえ、壁なんてしてもらいに来たわけではありませんよ」
 にこやかな笑顔のレイではあるが、彼から狩りに誘われたことにル・アージュは困惑していた。
「スフィンクスダンジョンでアヌビス狩りたいんですが、パサナやミノタウロスの相手をしてもらいたいんですよ」
「要は護衛ってこと?」
「はい。リューディーさんから薦められたんですよ。護衛にル・アージュさんをつれてけって」
 リューディーの計らいであることを知ったル・アージュは、少々悩んだ末同行することに決めた。そして早速支度をすると、渚 レイのワープポータルに乗っかりモロクへとやってきた。
 ル・アージュにしてみれば久しぶりの狩りである。少々緊張してきたのか生唾を飲む。そんなル・アージュにブレッシングと速度増加をかける渚 レイ。
「さぁ、行きましょうか」
 渚 レイに言われるままスフィンクスダンジョンへと向かう二人。
「とりあえずB4で現地集合ってことでお願いいたします」
「わかった」
 ビレタをかぶりなおし、スフィンクスダンジョンへと入ると渚 レイはテレポートしていく。ル・アージュも用意したハエの羽でダンジョン内を飛び回る。
 そして幾度目かのハエの羽で目の前にクリシュナが現れた。
「あら、ル・アージュじゃない。どうしたのさね?」
「あ、叔母さん。私、渚 レイさんに誘われて・・・」
「護衛かい? まぁ頑張っておいで」
 クリシュナもル・アージュに支援魔法をかける。そして背中をバンと叩いて喝を入れる。
 そうこうしてハエの羽で飛びまくったル・アージュは、B4の入り口について渚 レイと合流する。
「アヌビスは私が何とかしますから、ミノタウロスなどはお任せいたしますね」
 ブレッシングに速度増加、マグニフィカートやキリエエレイソンなどの支援魔法をかけてもらいル・アージュが先導する形で狩りを始めていく。ル・アージュにしてみれば久しぶりの狩り、しかも支援つきなので気合が入る。
 迫りくるパサナとミノタウロスを、サイズ特化のクレイモアを持ち替えながら片付けていくル・アージュ。支援のプリーストがいるので怪我なんぞ気にせず剣を振るっていく。アヌビスは渚 レイのレックスディビーナで沈黙させるとターンアンデットで消していく。
 そして2時間ぐらい時が経ったのだろうか、2人は腰を下ろして休憩し始めた。
「いやぁ、前衛がいると助かりますね。一人じゃ相手しづらくって・・・」
「そんな・・・。私も久しぶりに狩りできたから楽しかったよ」
「ではそろそろ帰りましょうか」
 渚 レイは裾の埃を手で払いながら立ち上がり、ワープポータルを出した。ル・アージュが乗っかりそれを見届け自身もポータルに乗りプロンテラは男所帯前へと帰っていく。
 プロンテラについたら渚 レイは、アヌビスから出たオリデオコンを半分に分けル・アージュへと渡す。
「では、また機会があれば護衛頼みますね」
「私でよければまた誘ってくださいな」
 こうして男所帯前から去っていくル・アージュ。足取り軽く女所帯へと帰っていった。

「ただいまー」
 ペコペコを厩舎に繋ぐとル・アージュは元気よく女所帯に帰ってきた。
「あら、おかえり。あんたにしては長々狩りしてた様子だねぇ」
「うん、久しぶりの狩りは楽しかったわ」
 居間にいるクリシュナとルシアが紅茶を飲みくつろいでいるさなか、食卓でリンゴをついばむネリスにオリデオコンを渡すル・アージュ。
「ルア姉おかえり」
「ただいま。戦利品それだけだから処分は任せたわよ」
「そのままセラフィーさんに渡してくればよかったのに・・・」
「まぁいいじゃない、うちでも使うかも知れないんだから」
 食卓に座るル・アージュの前にもフレアがそっと紅茶を差し出す。
「ヴァーシュは?」
「まだアインブロックだと思う」
「ふーん」
 気のない返事で紅茶を口にするル・アージュ。
「・・・で、どうだったの?」
 居間のクリシュナがル・アージュに問う。
「支援あると狩り楽しいね」
 ご機嫌な様子で返事を返すル・アージュが、紅茶を飲み干し立ち上がる。
「フレアー、お風呂は沸いてるの?」
「これからでございます」
「じゃあ私とネリスで風呂焚くわ」
 言うが早いかル・アージュはネリスもつき合わせてお風呂の準備を始めていく。もちろんネリスは湯加減をみる係りだ。
 釜に薪をくべ火をつけるル・アージュの視界にヴァーシュのペコペコの頭が見えた。どうやらヴァーシュも帰ってきたようである。
「ヴァーシュ、おかえりー」
「ただいま。お風呂沸かしてるの?」
「そうよー、早く入りたいからね」
 ヴァーシュが女所帯に入ってから数分の時が経った。ネリスが風呂場から「もういいよー」と外のル・アージュに教える。
 だがしかし、一番風呂はクリシュナがネリスを伴い先に入られてしまった。
「ネリスめ、クリシュナ叔母さんに便乗したか・・・」
「私達は後でいいじゃない」
 舌打ちするル・アージュに立ちながら紅茶を口にするヴァーシュがなだめる。
 その後入れ替わりで風呂に入っていくル・アージュとヴァーシュ。話題はもっぱら今日の狩りの話だ。
「レイさんと狩りしてたんだ」
「支援あると楽ね。回復気にしなくてもいいもの」
「楽しそうね」
 たわいない会話が進んでいくが二人とも順調に狩りしていたのを確認すると、互いに背中を流し合いお風呂を済ませる。
 風呂上りはすぐに夕食だと言われ、2人は黙って食卓につく。今日の晩御飯はネリスの希望でオムライスだった。
「お子様め」
「お子様でいいもーん」
 こうして夕食も賑わいの中で終わり、夜になり、女所帯の一日が終わるのであった。
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  by lywdee | 2011-03-22 14:29 | Eternal Mirage | Comments(0)

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