Eternal Mirage(118)

 木漏れ日差すプロンテラ。女所帯では朝からあわただしくも賑やかな1日が始まっていた。
「アマツに花見に行こう!」
 クリシュナの鶴の一声にフレアはお弁当を用意し始める。
 ヴァーシュやル・アージュもそれぞれ鎧を着込んで準備を始める。ネリスとルシアはそれほど装備するわけでもないが、準備はもう済ませている。
 そしてヴァーシュのペコペコにはお弁当を、ル・アージュのペコペコにはお酒と甘酒が積まれる。
 女所帯みんなで花見に出かけるのは年中行事の一環でもあるが、毎年のことなのでクリシュナ以外はあまり乗り気ではない。
「さぁ、アマツ行くよ!!」
 言うが早いか、クリシュナは外へ出るとワープポータルを出す。この日のためだけにメモってきたようだ。
 そのワープポータルに全員が乗り、一瞬のうちにアマツへと到着する。
 アマツはすでに春の陽気に包まれており、桜も満開状態で女所帯を迎え入れる。
「いやー、アマツは暖かいねぇ」
 いつ来ても桜が枯れないアマツはクリシュナにとっては、転生前からの狩場だったため故郷のような思い入れがある。
 お弁当を広げ、ちょっと早い昼食を摂りながら見る桜。クリシュナとルシアは持ってきたお酒を飲みながら桜を見上げていた。
 若い衆3人には甘酒がもてなされ、フレアはお酒を少々口にしていた。
 若い衆にしてみれば、フレアがお酒を飲むのは大変珍しいことである。一年で3回ほどであるから、酔うところを見れるのは大変貴重なのだ。
 まぁ酔うといっても、暴れたり服脱いだりとか酒乱の気はないのだけれど、どこでも寝ちゃう事が大半を占めている。だから本人はお酒を飲みたがらないのである。ただ、花見の時はたいていクリシュナが飲ませるので仕方なく飲んでいると言った方がいい。
 クリシュナは酒豪って訳じゃないが、それほどひどい酔い方はしない。むしろ酔うと大変なのはルシアのほうである。とにかく絡む。日ごろ読書にいそしんでる時の穏やかさはなく、とにかく誰か彼か捕まえては愚痴る事が多い。そうなるとクリシュナは若い衆をどこかへ退避させてルシアの愚痴に付き合っているのが恒例とも言える。
「だから姉さんは姪っ子に甘いのよ!」
「はいはい、そうですね」
「『はい』は一回でしょ!」
 だいたいこんな感じなので、クリシュナはさっさとルシアを酔い潰すためにお酒を注ぎまくる。
 そうこうしてひとしきり愚痴を言った頃にはようやく酔いつぶれて寝るのがいつものことになる。クリシュナはそうなるとようやく落ち着いてお酒を飲むことができる。
「やっぱ花見酒はいいねぇ。心が洗われるようだわ」
 フレアとルシアが寝てしまってからがクリシュナの時間とも言える。誰に気を使うわけでもなく飲めるのがちょうどいいようだ。

 夕暮れが近づいてきた頃、若い衆3人が揃って戻ってくると、クリシュナはフレアとルシアを起こしにかかる。
「ほら帰るよ!」
 ルシアを起こしにかかるクリシュナにフレアを起こしにかかるヴァーシュとル・アージュ。
 なんとか目覚めさせるとクリシュナがワープポータルを出す。なかなか起きないルシアはクリシュナが抱えて帰ることにした。
 家に帰るとフレアは紅茶を用意しみなに振舞う。クリシュナは結局起きないルシアを自室のベッドに寝かせに行ったようである。
 フレア自身も紅茶で酔いを醒まそうと口にする。まだ少々眠いが家事をする分には問題ないと踏んで、そのままお弁当箱を洗い始める。ヴァーシュとル・アージュは揃ってお風呂の準備に取り掛かるために鎧を脱いで自室に片付けに戻る。
「じゃあ私薪割りね!」
「わかったわ」
 ヴァーシュとル・アージュが元気よく外に出て行く。その様子を見たネリスは湯加減を計るため風呂場へと向かって行った。
 ルシアを寝かせたクリシュナが戻ると、フレアに氷水を用意させる。
「ありがと。あんたは大丈夫なの?」
「私ですか、少々眠いですが大丈夫です」
「そ、ならいいわ」
 氷水を一気に飲み干すと、クリシュナは食卓の椅子に座りその前に用意されていた紅茶も一気に飲み干す。
「お風呂はあとにするか・・・」
「ヴァーシュ姉! もういいよぉー!」
 浴場からネリスの声が響き渡る。
 その声にヴァーシュとル・アージュが急いで家の中に戻ってきた。
「叔母様先に入られますか?」
「いいや、今日は後にする」
「じゃあ私たちが一番風呂だ」
 ル・アージュはそう言うとヴァーシュとともに自室に戻る。それに遅れてネリスも自室に戻っていった。

 それからしばらくしてルシアがクリシュナの部屋から戻ってきた。
「あー頭痛い」
 ルシアが食卓の椅子に座ると、フレアは食品庫の氷を砕いて氷水を作り始めた。
「何時間寝てたんだろ?」
「4時間くらいよ。迎え酒はさせないよ」
 皮肉めいたクリシュナの言葉に苦笑いするルシア。その目の前に氷水が差し出される。
 氷水を一気に飲み干したルシアが食卓に突っ伏した。
「少しは酔い醒めたかい?」
「なんとなく・・・」
 とはいうもの、ルシアは酔いつぶれるほどお酒を飲んだからか、フレアに「水」と一言コップを差し出した。
「あー叔母さん起きてるー!」
 風呂上りのネリスの声が響き渡ると同時にルシアは頭を抱えて食卓に突っ伏す。
「やめて大声出すの・・・、頭がガンガンする・・・」
「叔母様たち、お風呂空きましたわ」
 バスタオルで髪を拭くヴァーシュとル・アージュの2人が食卓につく。
「私らは夕食後に入るからいいさね」
「私入らなーい」
 フレアに差し出された水を一気に飲み干すルシア。そしてまたフレアに水を請求する。完全に二日酔い状態に陥ってる様を見てクリシュナはため息一つこぼした。
 その後は夕食となり、二日酔い状態のルシアを除いて和気藹々と会話がはずみ、クリシュナは夕食を摂り終えると同時にお風呂の支度を始めた。
 結局のところ、ルシアは夕食後またクリシュナの部屋の自分のベッドに横たわってそのまま寝に入った。
 そして一通りの家事を終えたフレアがお風呂に入って女所帯の1日が終わるのであった。
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  by lywdee | 2011-03-29 13:47 | Eternal Mirage | Comments(0)

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