eternal Miage(122)

 プロンテラの中心街の桜も葉桜になり始めた今日この頃、女所帯ではいつものようにお留守番組が静かに昼食を摂っていた。
「最近露店もいい物ないわねぇ」
「今はデワタのクリスっていう短剣が出回ってるぐらいだお」
「デワタねぇ・・・」
 ル・アージュは昼食のパンケーキを食べながら窓の外に目をやる。
「あれはお金がかかるからやめときなさい」
 紅茶を飲みながら忠告するルシア。デワタを歩き回って得た情報なので、ル・アージュとネリスは難色を示す。ルシアいわく、「クリスは作るのも面倒だがその後でお金がかかる」ときっぱり答える。
「資金調達には心もとないけど、ネリス、あんたなら土精狩るついでにキャラメルも殴ってみたら? カードでたらそこそこ潤うはずよ」
「昆虫特化ってこと?」
「異世界じゃ充分役に立つし、100万ゼニー前後で売れるはずでしょ?」
「うーん・・・、今度狩り行けたら殴ってみる」
 異世界にも出歩いてるルシアの言葉に、ネリスはカード出るかなぁっと呟きパンケーキをほおばる。
「まあ出ればの話だから、気にすんじゃないわよ」
 フレアの紅茶のおかわりをもらいながら淡々と答えるルシアなのだが、本人もろくにカード出してる訳じゃないので気にもしていないようだ。
 そんなこんなで昼食も終わり、ルシアは居間で本を読み始める。ネリスとフレアは晩御飯の調達に出かけて行ったところで女所帯に客が現れる。
「ル・アージュさんいますか?」
 ドアを開け現れたのは男所帯の渚 レイである。
「いるよー。またスフィンクスダンジョン?」
「はい、また護衛をお願いしようかと・・・」
「行く行く。ちょっと待ってね」
 狩りのお誘いがかかったところで、ル・アージュは騎士の鎧に身を固め2本のクレイモアを腰に挿す。
「ルシア叔母さん、行ってくるね」
 少々慌ただしく準備を終えると、ル・アージュは厩舎のペコペコにまたがり、渚 レイのワープポータルに乗っかる。
「慌ただしいわねぇ・・・。若さってやつか・・・」
 本を読みながら紅茶を口にするルシア。それでも狩りをしたい姪の気持ちもわからないわけではなかった。

「ただいまー・・・って、あれ? ルア姉は?」
 買出しに出かけていたネリスとフレアが帰ってきたところで、ネリスはル・アージュがいないことに気づく。
「ルアなら渚 レイと狩りに出かけたわよ」
 本を読みながら答えるルシア。
「いいなぁ、狩りに連れてってもらえるなんて・・・」
 少々不満げに思うネリスだったが、自分も狩りでお金がかかっているものだから半ば諦め気味に肩を落とした。
 フレアはフレアで買出しで購入した肉や野菜などを片付け、火を起こし紅茶の準備を進めている。こちらは相変わらずのようだ。
 しばらくするとクリシュナが帰ってきた。どうやら今日は廃坑に行っていたようで、チャンピオンの服はすすだらけになっていた。
「クリシュナ様・・・」
「わかってるって、脱げばいいんでしょ」
 玄関でチャンピオンの服を脱ぎ、洗濯籠の中に入れると下着姿で自室に向かう。それを見たネリスは風呂焚きに外へ出る。
「ルシア様、紅茶が出来上がりましたがいかがなさいます?」
「あぁもらうわ」
 ティーカップを差し出し淹れたての紅茶を注いでもらうルシア。どうやら待ち望んでたらしく、香りたつ紅茶を口にすると「ふぅ」と一言もらした。

 数十分後、フレアが風呂の様子を見て湯加減をネリスに伝えると、風呂焚きを終えたネリスが部屋の中に戻ってきた。
「クリシュナ叔母さーんお風呂沸いたよー」
「あいよー」
「姉さんが入るなら私も入るか・・・」
 クリシュナの返事が聞こえたところでルシアも立ち上がる。
 自室から出たクリシュナは替えの服を抱えていたが、ルシアはそのまんまの姿でお風呂に向かっていった。
 2人がお風呂に入って行ったのとすれ違いにヴァーシュとル・アージュが同時に帰ってきた。ヴァーシュはたいして汚れてはいなかったが、ル・アージュは返り血を浴びて鎧の所々が赤く染められている。
「ルア姉だいぶ汚れたね」
「そりゃ2時間もミノタウロスやパサナ狩ってたからねぇ。ところでお風呂は?」
「叔母さんたちが入ってる」
「先越されたか・・・」
 血まみれの鎧を脱ぎながらル・アージュは残念そうにヴァーシュの顔を見る。ヴァーシュも鎧を脱ぎながら微笑み返した。
「私、鎧を洗ってくるわ」
 脱いだ鎧を抱え外に出るル・アージュ。裏庭の井戸に着くと、水を汲み、たわしで鎧の血糊をごしごしとこすり洗っていく。
 ある程度汚れが落ちたところで、ヴァーシュがお風呂のためル・アージュを呼びに来た。
「お風呂空いたわよ」
「うん、すぐ行く」
 言葉数少なく鎧の水っけをきると、そのまま家の中に入り、日当たりのいいところに鎧を干す。
「ふぅ・・・」
 額の汗をぬぐい、自室から替えの下着などを取りに戻り、ル・アージュはヴァーシュとネリスと共にお風呂に入っていく。
「最近よく狩りに誘われるね」
「うん、支援つきの狩りはやっぱ楽しいね」
「いいなぁ・・・。私も誘われたいな」
 たわいもない会話が進んでいく。
 ネリスは速度だけだが支援スキルが使えるのでル・アージュに皮肉を言われるが、将来的に自己支援が約束されているネリスは横腹をつつかれた。
 そんな感じでお風呂を済ませて夕食に入るのだが、少々時間があるのでヴァーシュは櫛で髪を梳かし始める。
「ヴァーシュ姉、終わったら貸して」
「私の使いなさいよ」
 食卓についていたネリスにクリシュナが櫛を差し出した。
「ありがと叔母さん」
 こうしてヴァーシュとネリスは二人揃って髪を梳かし始めた。ル・アージュにいたってはバスタオルで髪を拭き続けている。
 夕食は陽も傾き始めた頃ようやく出来上がった。
「遅くなりました。今夜はビーフシチューです」
 食卓にビーフシチューとサラダ、パンが次々と並べられていく。
 今日の夕食はわりと静かに始まった。会話がはずんでいないわけではないのだが、だいたいの事はみんなお風呂の時間に話し合っていたせいでもある。
 食事中静かなことは珍しいものでもないのだが、今日はみんな疲れているようで、物静かに食べるルシアとフレアにしてみれば食事中は静かな方が好ましく思っている節がある。
 こうして静かな夕食が終わった頃、ル・アージュはかなり疲れているのか一人先に眠りについた。ヴァーシュとネリスも今日は早めに眠ることにした。
 クリシュナとルシアもフレアに気を使っているのか早々に自室に戻っていった。
 そして一人残されたフレアは、いつもどおり食器を片付け、お風呂に入っていくのであった。
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  by lywdee | 2011-04-26 13:17 | Eternal Mirage | Comments(0)

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