Eternal Mirage(129)

「やあセラフィー。資金繰りは進んでるのかい?」
 その日クリシュナは、昼間から男所帯に訪れていた。
「クリシュナさんか・・・。ちょっと今は進んでないね」
「そうかい。こっちは私が廃坑通い始めたから、何とか物資と資産は稼げると思うけど、そっちの大将2人はどうなのさね?」
 クリシュナはそう言うと食卓の椅子に腰掛ける。そこへ渚 レイが淹れ立ての紅茶をクリシュナに差し出す。
「悪いね。催促したみたいで・・・」
「いいえ、お気になさらずに・・・」
「うちの大将2人なら今は武器待ちってところかね。まぁ物が物だから、ある程度資金が無いことには投資できないから、2人には地道に資金稼いでもらってる」
 セラフィーもタバコを吸いながら食卓の椅子に腰掛け、渚 レイの紅茶を注いでもらう。
「でも何だ・・・。クリシュナさんが廃坑に通いだしたんなら、女所帯はある程度資金が潤うんじゃないの?」
「スケ若c狙いの狩りだからねぇ・・・、気長に狩りするさね」
 ため息まじりのクリシュナ。セラフィーもつられてため息がこぼれる。
 それを見た渚 レイも苦笑いするしかない。
「先立つものは資金なのは両方一緒か・・・」
「だねぇ・・・。まぁ私の方は即金になるかわからないけど、少しは物資と一緒に回せるように努力はする。後のことは任せるからね」
「お手数かけますね」
「いいってことよ。お互い持ちつ持たれつでしょ」
 そう言って食卓の椅子から立つと、クリシュナはセラフィーの肩をぽんと叩く。
 セラフィーも今に始まった事でもないので、クリシュナには頭が上がらないのが現状だといえる。
「紅茶のおかわりはいかがですか?」
「いただくわ。それはともかく、あんたも一人で背負い込むわねぇ」
「それを言われると何も代えせねぇっす」
 両世帯の資金管理もしているセラフィーだから、悩みは増えても減りはしない。だからこそ心配してクリシュナが気を使ってこうして訪ねてくるのだ。
 まぁセラフィーの気苦労は大体が過剰装備だったり属性武器だったりと、主に女性陣の装備でお金を消費しているのが声にこそ出さないが本音だったりする。それはもちろんクリシュナも知ってはいる。
「じゃあまたそのうち様子見にくるわ」
「ほいほい」
「お茶ご馳走様」
「どういたしまして」
 言うだけ言ったクリシュナが男所帯を後にする。
 そうして残された男2人。渚 レイは食卓で紅茶を口にしながらセラフィーを見た。
「はぁ・・・、リューディーの装備より先にシル・クスの装備の方が先だろうなぁ・・・」
「気苦労が絶えませんね」
 苦笑いする渚 レイ。自分の装備も一通り揃えてもらった手前、たいした事は言えないのだが、それでもセラフィーの苦労は知らないわけではない。しかし、プリーストにできる事など限られているので、自分自身、まったく役に立つことなど無いと思っている。
「セラフィーさん、私ちょっとル・アージュさん誘って狩り行ってきますね」
「ほいほい、いってらっしゃい」
 そうして渚 レイも出かけていくと、セラフィーは一人倉庫整理に出かけていくのであった。

「へぇ~、セラフィーさんがねぇ・・・」
「そうなんですよ。だからせめてオリデオコンぐらいは集めないとなぁって」
「いよいよ~、うちオリデオコンいらないから。出たら全部持っていって」
 スフィンクスダンジョンの4層目で狩りをする渚 レイとル・アージュ。自分も武器で散々お金かけてもらったので、恩返しというほど大それたことはできないが、何かでちゃんとお返ししたいとはつくづく思っていたので、この辺は利益なしでも全然大丈夫な様子だ。
 スフィンクスダンジョン4層目に沸いて出てきたごっついミノタウロスのせいで、ソロ狩りが辛くなってきた渚 レイに護衛でついてきてくれるル・アージュの存在は大きい。狩りとしては充分息も合ってきたので何も心配も無く成立している。
 アヌビスは相変わらず渚 レイの担当ではあるが、ここでの狩りでピンチになることはまず少なくなってきたのは確かなことである。
「今日はこの辺にしときましょうか?」
「そだねー、結構疲れちゃったよ」
「ではポタ出しますね」
 安全を確認したところでワープポータルを出す渚 レイ。光の柱にル・アージュが飛び込んだのを見て、自分もその柱の中に身を投じる。

 プロンテラの男所帯の前に現れたル・アージュと渚 レイの2人。今日の収穫はそれほど無く、オリデオコンは渚 レイに、そのほかのドロップはル・アージュがもらう事にした。
「じゃあまた誘ってくださいねー」
「その時はまたお願いしますよ」
 女所帯へと帰っていくル・アージュを見送ると、渚 レイは男所帯へと入っていく。
「おかえり」
「ただいまです」
 家の中にはセラフィーだけでなく、リューディーも狩りから帰ってきていた様子だ。
「戦利品はオリデオコンだけです」
「あいよ。いつもご苦労さん」
 渚 レイからオリデオコンを受け取ると、セラフィーはカートの中に無造作に置いた。
「今日はカレーだ、しっかり食ってくれ」
「ではいただきますか。主よ今日もまた糧をいただき・・・」
 渚 レイの祈りが始まるのと同時にリューディーはカレーを食べ始める。セラフィーも当たり前のように食べていく。男所帯でのいつもの光景である。
 食事が終われば後は入浴の時間だ。男所帯の風呂は女所帯の風呂に比べて狭いほうである。したがってお風呂は基本的に一人で入ることになる。それぞれが順番にお風呂に入り、全員が上がった頃にはもう夜になっていた。
 みんなが自室に戻ったのを確認すると、渚 レイは燭台に火を移し、居間の蝋燭すべてを消し去り自室へと戻っていく。男所帯の夜は、だいたいこんな感じで過ごすのであった。
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  by lywdee | 2011-06-14 14:35 | Eternal Mirage | Comments(0)

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