Eternal Mirage(131)

「ルシア叔母さん、ヴァーシュ見なかった?」
 ル・アージュが朝から居間で読書にふけっているルシアを捕まえる。
「叔母さん・・・?」
「ヴァーシュなら朝一からモスコビアに行ったわよ」
「モスコ?」
「今のヴァーシュならモスコビアダンジョンが妥当だと言ったら、あの子朝食も摂らずに出かけて行ったわよ」
 ため息をこぼしながら本をたたむルシア。
「それより何か用でもあったの?」
「ん、たいした用でもないわ。いないからまたジオ狩りでも始めたものかと・・・」
 ぽりぽりと頬をかくル・アージュ。ここ最近ヴァーシュとの会話が少なくなってきてる気がするようで、何か気まずい雰囲気が女所帯で起こっている感がどうしても否めない。
 ただ、理由はわかっている。ヴァーシュがロイヤルガードの道を急いでいるのと、ル・アージュの発光のために渚 レイが同伴している事によるすれ違いの生活が続いているからでもある。ル・アージュ自身、最近は朝か夕方以外でヴァーシュと会うことも無いので、気にはしているようだ。
「ルア、あんたも人のこと気にする前に発光目指して本腰いれたら?」
「私? んー、私はもうちょいゆっくりと成長したいしなぁ」
「まぁあんたはそんな性格だものねぇ、つき合わせている渚 レイも気長だし、どうせ狩りの合間に会話でもしてんじゃないの?」
 ルシアの見解に、ル・アージュの「ははは・・・」と乾いた笑い声が居間に響く。どうやら的を得ているようだ。
「しょうがないじゃない、あそこ人気の狩場だし、アヌビスなんてタゲの取り合いが激しいもんだからレイさんもお手上げの状態よ」
「まぁペアじゃテレポ狩りなんてできないしねぇ・・・」
 飲みかけの紅茶を口にしながら「ふぅ」とため息をこぼすルシア。その様子を見て、フレアが厨房からティーカップセットを一つ持って居間にやってくる。
「ル・アージュ様も紅茶いかがですか?」
 ルシアのティーカップに紅茶を注ぐと、フレアはル・アージュにもお茶をすすめる。
「そうね、いただくわ」
 ル・アージュが軽く受け答えると、フレアは持参したティーカップに紅茶を注ぎル・アージュに差し出した。
「まぁどちらにせよあんたも発光目指してくれないと、私も落ち着いて狩りにも行けないわ」
「へ? なんで?」
 ルシアの言葉にル・アージュが食いつく。
「あんたが発光、そして転生してくれるとねぇ、私としても狩場の調査しなくていいし、姉さんに発光急かされること無くなるからよ」
 紅茶を口にしながらも淡々と語るルシア。
「とりあえずヴァーシュから植物靴返してもらってからが私の追い込みね。異世界で発光するつもりだから、植物靴ないとちょっと効率悪くなる。もっとも、ブラゴレ狙うなら靴なんてなんでもいいんだけど、まぁ姉さんのギルドのG狩りでタナトスタワー行く時に便乗するってのもアリね」
「ほへー・・・、叔母さん色々考えてるんだねぇ・・・」
 紅茶を片手にル・アージュは目を丸くしていた。
 ルシアにいたっては、考えることが山ほどあるのでこの程度で驚かれてもなんとも思わない。むしろ、これぐらいは考えておいてほしいと思うのが率直な感想だ。
「まぁヴァーシュも焦ってるわけでもないし、狩場がモスコに定住するかもまだわからないしねぇ、それでもRGになりたいって気持ちだけは強いようね。パラディンのままじゃクルセ時代となんら変わりばえしないしねぇ」
 紅茶を飲み干しおかわりの請求をするルシア。
「はぁ・・・、私はのんびりゆっくり狩りしたいんだけどなぁ・・・」
「そんな事言ってるからいつまで経っても成長しないのよ」
 おかわりをもらったルシアが、ル・アージュにきつい一言を浴びせる。
 正直心にグサっと刺さるものがあったが、何も言い返せれないのでル・アージュはなんとか話題の変更を試みる。・・・だがそう簡単にルシアの追撃をかわすことはできない。この辺は年の功と言うものだろう。
「叔母さんは教授になったらどうすんの?」
 小一時間ルシアのダメだしを喰らっていたル・アージュがようやく開放される。
「私はねぇ・・・、付与切ろうと思ってるのよ」
「え? 切っちゃうの?」
「とりあえず水付与は切るわね。あまり使い道ないし、むしろ水付与必要な狩場自体行くことないしなぁ」
 ポカーンと口をあけたままのル・アージュ。ルシアの話はまだ続く。
「まぁ火と風は取っておいてもいいんだけれど、教授になるのなんてまだ先のことだし、調べながら狩りしていくことになるわね」
「さ、さいですか・・・」
 ルシアの雑談が一区切りついたところでフレアの口から朝食の用意ができたと告げられる。
 食卓にはすでにクリシュナとネリスが席についていた。
「ルア、あんた朝から何長々とルシアと話し込んでいたのよ?」
「あぁ姉さん、軽く説教してやったから気にしないで」
「説教ねぇ・・・」
「あははははは・・・」
 クリシュナが空笑いのル・アージュと、しとやかに紅茶を飲むルシアを見比べて頬杖ついてため息をこぼす。
「まぁおおよその見当はついたわ。さ、朝食にしましょ」
 クリシュナの一言で女所帯の朝は始まった。この日、ル・アージュの災難はまだ続くのであったが、誰がそれを予想できたであろうか・・・。


                                       続く・・・。
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  by lywdee | 2011-06-28 03:43 | Eternal Mirage | Comments(0)

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