Eternal Mirage(133)

 昼日中のプロンテラ。その一角にあるリューディーらの住む男所帯に訪ねる一人の女性、クリシュナがコンコンっとドアを叩く。
「セラフィー、いるかい」
 するとドアがゆっくり開いて渚 レイが顔を出す。
「クリシュナさんですか。セラフィーさんならいますよ」
 どうぞとばかりにドアを開いた渚 レイがクリシュナを迎え入れる。中から鎚打つ音とムワっとする熱気が広がっている。どうやらセラフィーが何か精錬しているようだ。
「紅茶を用意しますんで、居間の方でお待ちくださいな」
「悪いね、催促してるみたいで・・・」
「いえ、お気になさらずに」
 居間のソファーに腰をおろすと、クリシュナは熱い紅茶がくるものだろうと予想していたが、お茶請けとともに出てきたのは以外にも氷を浮かべたアイスティーだった。
「白鳥さんがラヘルで取ってきてくれたんですよ」と渚 レイが言う。
 女所帯でもよくヴァーシュがラヘルの氷の洞窟から大きな氷を取ってきたりするものだから、氷自体珍しくも無いのだが、それを取ってきたのが白鳥だと聞くと、クリシュナは血は争えないものだと思わず納得した。
 そうしているうちに工房から響いていた鎚の音が止む。どうやら精錬が終わったようだ。
 セラフィーは渚 レイの用意したタオルで顔や体の汗を拭きながら、アイスティーを口にして居間の方へとやってきた。
「すまないね待たせちゃって、で、今日は何用だい?」
「ああ、たいした用って訳でもないんだけどね。リューディーがマミーc狙いの狩りしてるって聞いてね・・・」
「相変わらず耳が早いねぇ・・・」
 アイスティーを飲みながら立つセラフィーに、紅茶のおかわりを用意した渚 レイ。クリシュナ共々おかわりを注ぎに来たようだ。
 溶鉱炉で鉄を作っていたセラフィーには、天然氷で用意されたアイスティーがとても嬉しい。
「マミーc程度なら私が狙いに行ってもいいんだけれどね、ちょっとミミックは鬱陶しいけど・・・」
「その辺を考えるとリューディーのほうが効率いいんですよ。グランドクロス型にはね」
「そりゃそうだ。ピラミッドダンジョンなんて不死が多いし、GXならまとめて倒すこともできるしねぇ」
 アイスティーを飲みながら会話を続ける二人。

 当の噂のリューディーはというと・・・。

「グランドクロス!!」
 光の結界が広がり群がるマミーやマーター、ミミックが焼かれていく。
「ヒックシュン! あぁ風邪か? それとも噂でもされてるのか・・・」
 戦利品を拾いながら呟くリューディー。
 朝からピラミッドダンジョンの3階にこもってはいるが、今のところマミーcが出る気配など無い。
 こういうのは数倒してなんぼとはいえ、騎士団のようにまとめ焼きをするにはマミーの足の遅さにリューディーは思うような戦果を得られずにいた。
 幸いなのは、ここにいるモンスター全部、カードは出れば懐が潤うものばかりなのでいつ何のカードが出てもテンションの下がることは無い。むしろ狙ったものだけでも出れば懐事情を暖めてくれるものだとリューディーは思う。
 まぁ簡単にカードが出るわけ無いとわかってはいても、少なくともここはロイヤルガードがくる狩場でもなければ人気の狩場と言うわけでもない。対抗がいないだけ廃鉱よりかは楽だと言えるが、それでも彼にしてみれば相性のいい狩場とは言えないようだ。
「今日はこれぐらいにでもしておくか・・・」
 そう言うとリューディーは荷物入れから蝶の羽を出し、握り締めてから宙に投げる。すると次の瞬間にはプロンテラ東門のカプラ職員前に着いていた。
 とりあえず戦利品はカプラ職員の倉庫サービスを利用し預けていく。一通り補充する物も預ける物も入れ替えたりして、男所帯へと帰っていくリューディーだった。
「よう大将」
 男所帯への帰り道、リューディーの目の前にセラフィーが現れる。カートの中身をのぞいてみれば、そこにはたくさんの鉄が積まれていた。
「調子はどうだい?」
「まぁぼちぼち戦利品は稼いでる。カードは全然だけどな」
「戦利品は後でまとめて処分するわな。とりあえずご苦労さん。風呂の支度は済んでるから、ゆっくりと浸かってくれや」
「そうせてもらうわ」
 2人はそのまますれ違いセラフィーはカプラ職員の下へ、リューディーは家路へと向かうのであった。
「ただいま」
「あ、リューディーさん、お帰りなさい」
「とりあえず風呂入ってくるわ」
 居間でRGの鎧を脱ぎさり自室へと運んでいくリューディー。そして着替えを持参して風呂場に向かっていった。
 お湯はゆっくり入るには少々熱く感じられたが、リューディーは気にせず肩まで浸かって「ふぅ」とため息をこぼした。

「ただいまー」
 セラフィーが帰ってきた頃には夕日はほぼ沈んでいた。
「ありゃ、リューディーはまだ風呂か・・・」
「ええそうですよ。もうじき夕飯ができますから、居間ででもくつろいでくださいな」
 今日の食事当番は渚 レイのようだ。厨房からはいい香りが立ち込めている。
「ふぅ・・・、いい湯だった・・・」
 リューディーも風呂から上がってきたところで居間のソファーに腰を下ろし、バスタオルで髪をしっかりと拭いている。
「今日の飯当番はレイか・・・」
「もうじきできますから、ゆっくりとくつろいでくださいな」
「そうさせてもらうわ」
 リューディーはそう言って髪を拭き続ける。セラフィーにいたっては渚 レイが用意していたティーポットのアイスティーを自分で淹れて、そのまま一気に紅茶を飲み干していた。
「・・・で、シル・クスの武器は調達できたん?」
「いや、まだ露店には出てないなぁ。過剰グラは露店で出るのを待ってるんだけど、自分で作るにしてもグラディウス自体売ってねぇし、過剰グラ待って買った方がよっぽど楽だ」
「ふーん・・・」
「まぁお前さんがマミーc2枚出してる頃には過剰グラも手に入ってる事だろうよ」
 楽観的な考えのセラフィーの言葉に、リューディーは半ば呆れかえっていたが、とりあえず自分にできることを優先にしなきゃと思い、軽くため息をこぼす。
「晩御飯できましたよー」
 渚 レイの言葉で、2人は何事も無かったかのように食卓へとつくのであった。
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  by lywdee | 2011-07-12 05:25 | Eternal Mirage | Comments(0)

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