Eternal Mirage(135)

 照りつける太陽がまぶしいプロンテラ。気温も高く、夏真っ最中と言っても過言ではない今日この頃・・・。女所帯では毎年の事ながら、暑さにだれているものそうでないもの、夏だなぁと思わずにはいられない面々がそこにいた。
「あつーい・・・」
 シャツにパンツだけというだらしのない格好で居間のソファーに寝込んでいるル・アージュは、団扇で自分を扇ぎながらこのうだるような暑さに完全にやる気をなくしていた。
「そんなに暑いんなら風呂に水張って涼んでいれば?」
「うん、そうする・・・」
 セージの格好で読書にいそしむルシアが、だらしのない姪の姿を見て一言吐き捨てるように言った。無論冗談ではあったが、ル・アージュは本気に取って水着を出して風呂場に向かった。
 水着に着替えたル・アージュは、浴槽に水を張り始めて中に入る。
「つめたーい」
 さすがに張りたての浴槽は冷たくてそう何分も入れなかったが、体が慣れてきたのか数分入っては数分外の空気にあたるという逆サウナ状態を楽しんでみた。それだけ今日は外の温度が高すぎたのである。
「ルア姉、私もはいっていい?」
 言うが早いか、ネリスも水着姿で風呂場に入ってきた。
 砂漠から帰ってきたらしく、ネリスはまず砂まみれになった髪を水で洗い流す。それから浴槽の中に飛び込むとバチャーン!!と水しぶきをあげて一旦潜る。
「ぷはぁっ。つめたーい」
「そうでしょそうでしょ。早く代わっておくれ」
「はぁーい」
 そうして2人は入れ代わり立ち代り浴槽と外を交互に行き来する。
「そういえばヴァーシュは?」
「ヴァーシュ姉ならラヘル行ってるよ」
「氷Dか・・・。ヴァーシュらしいわね」
 2人揃って浴槽の中に浸かっているとフレアが外から顔を出してきた。
「そろそろお風呂を焚き始めたいのですが、まだ浸かっておられますか?」
「もうそんな時間か・・・。ネリス、上がるわよ」
「はーい」
 充分涼んだところで2人はバスタオルを取り水着姿のまま自分の部屋へと戻っていった。
 部屋での着替え、今度はちゃんと普段着に身を包みネリス共々1階に下りてきたル・アージュ。そこには狩りから戻ってきたクリシュナとヴァーシュの2人が食卓でアイスティーを飲んでいた。
「おかえり叔母さん、ヴァーシュ」
「ただいま。お風呂に水張って涼んでたんだって?」
「うん、ネリスと2人で涼んでた」
 ふーんっとたいして驚くわけでもなく、クリシュナは厨房まで行き紅茶と氷を取り、自分のティーカップに注ぎいれ戻ってくる。
 ネリスはネリスで「楽しかったお」とヴァーシュの隣に座る。
「また今度、みんなでブラジリスにでも行くかい?」
「んー・・・、そこまでしなくてもいいかも」
「私行きたーい」
 ル・アージュの言葉が終わるか終わらないかのタイミングでネリスが台詞をかぶせる。
「はいはい、今度暑くなったらみんなでブラジリス行こうね」
 クリシュナが話をまとめると、フレアが「お風呂沸きました」と厨房に戻ってきた。すると珍しくルシアがクリシュナの腕を取った。
「姉さん、風呂はいろ」
「あら珍しい、あんたから誘ってくるなんて・・・」
「居間も蒸してたからね。地味に汗かいて気持ち悪い」
 そして2人は自室から着替えを用意してお風呂場へと向かって行った。
「皆様紅茶は飲まれますか?」
 フレアがネリスとル・アージュのティーカップを用意しようとして尋ねてきた。無論「いただくわ」とル・アージュ。ネリスも黙って頷くだけ。それを見てフレアは、2人のティーカップとヴァーシュのティーカップに紅茶を注ぎ、氷を入れるのであった。
「私、着替えてくるね」とヴァーシュが2階に上がっていく。それを見送ったル・アージュは、フレアに晩御飯のことを尋ねる。
「まだご夕食の時間には早いと思われますが・・・?」
「じゃあ、叔母さんたち上がったら私らも入るわ」
「かしこまりました」
 軽く会釈するフレア。このあたりメイドと間違われても仕方ないなとル・アージュはいつも思っていた。
 それから数十分後、お風呂からクリシュナ、ルシアの両名が上がってきたところで若い衆3人が入れ違いでお風呂に入っていく。
「夕飯はあの子ら上がってからかい?」
「はい今日は冷たいそばにしようかと・・・」
「それでいいんじゃない。期待してるよ」
 食卓のいつもの場所に腰を下ろしたクリシュナは、風呂上りなのにまたセージの服を着てるルシアに目をやる。
「あんたはほんと本の虫だねぇ。さっさと教授になっちゃえば?」
「考えとく」
 読書を始めたルシアを尻目に、淹れ直したアイスティーを口にするクリシュナ。いつもなら反論されるところなのに今日は珍しく前向きな返答なのでクリシュナとしてはあまり面白くないが、少しは自覚してきたかと思えば、それも悪くはないかと胸をなでおろした。
 それから数分後、若い衆がお風呂から上がってきて晩御飯の時間となる。それと同時に、今日の猛暑が過ぎたとル・アージュは思うのであった。

(明日は涼しいかな?)

 ル・アージュの期待は誰にもわからないことだろう。
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  by lywdee | 2011-07-26 13:14 | Eternal Mirage | Comments(0)

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