Eternal Mirage(136)

「いやー暑いなぁ・・・」
 その日、男所帯でブラックスミス「セラフィー」が居間のソファーに座り、アイスクリーム片手に伸びていた。
 溜まった鉄鉱石を鉄に替え終わってひと段落ついていたのだ。
「お、静かになったと思ったら、精錬終わったのか」
 2階からロイヤルガードの鎧をまとった「リューディー」が下りてきた時、同時にプリースト「渚 レイ」も1階の自室から出てきた。
「さすがに精錬やってると蒸し暑くなるな」
「では昼食は冷たいものにしましょうか?」
 そう言ってご飯当番のレイが厨房に立つ。
「・・・で、リューディー、今日はピラミッド行かんのか?」
「昼飯食べたら行ってくるさ」
 何気ない会話が続く中、玄関のドアを開けて静かに入ってくる者がいた。
「お、シル・クスじゃないか、なんか久しぶりな気がするな」
「龍の城での修行も辛くなってきたしな。羽を伸ばしに帰ってきた」
「悪いがまだお前さんの注文した武器はできてないぞ」
 アイスクリームを食べ終えたセラフィーがシル・クスに答える。
「そんな簡単にできるものならもっと早くに言ってるさ」
 なかば自嘲気味に答えるシル・クス。
「シル・クスさん、お昼まだでしょ? 今作ってますから居間でくつろいでくださいな」
 珍しく4人で食事を摂る事となり、渚 レイは厨房で麺らしきものを茹で始めていた。
「マミーc2枚ぐらいなら俺がピラミッドに行こうか?」
「それじゃぁミミックに当たらんだろ? ここはそんなのお構いなしのリューディーに行ってもらった方が効率いいよ。お前さんは今できることをやってくれればそれでいいさ」
「なんか悪いな。こんな時に金かかることを注文して・・・」
「悪いだって? 武器ができちまえばお前さんにはそれ以上の稼ぎを期待してるんだ。良くも悪くもないさ」
 会話がはずむ中厨房の渚 レイは保存庫の中から氷を取り出し手ごろな大きさに砕き、それを茹で終えた麺と一緒にボウルに移し麺を冷やす。
 リューディーはと言うと、珍しく4人も揃ったことで少々落ち着かない様子だ。
「はい、ビビン冷麺ですよ。冷たいうちにどうぞ」
 渚 レイが用意した昼食は夏には嬉しい冷たい麺であった。4人は食卓に移り出来上がった冷麺を口にする。
「やっぱレイが作るとおいしいな。私じゃこうはいかない」
「うちで一番器用な奴が作ってるんだから当たり前だろう」
 リューディーの台詞にセラフィーが口を挟む。物資調達係のリューディーは飯当番から外れているのでそれ以上は何も言わない。
「まぁ何だ、世の中適材適所ってところだな」
「はいはい、カード出せるように後で頑張るさ・・・」
「悪いなリューディー。お前さんも武器待ちだというのに」
「いいって事さ」
 和やかな雰囲気の食卓で4人は昼食を摂り終える。すると腹休めもなしにリューディーが立ち上がる。
「じゃあピラミッド行ってくるわ」
「期待してるぞー」
 セラフィーの言葉に送り出されるようにリューディはグリフォンに乗って東門のカプラ職員の方へと向って行った。
 それに続くようにシル・クスも東門の方へと出かけていく。セラフィーはそれに付き添うように東門の方へとついて行った。
「魚はまだあるんか?」
「んー・・・、だいぶ減ってきた気がする」
「じゃあ俺も魚の買出しにアルベルタまでついていくわ」
 カートを引っ張りながらカプラ職員の前まで2人がたどり着くと、揃ってアルベルタまで飛ばしてもらう。
「魚は龍の城で受け取ってくれ。当面必要と思われる分は買って倉庫に入れておく」
「頼んだぞ」
 アルベルタについた2人はここで別行動をとった。
 セラフィーは倉庫に入れてあるシル・クスの戦利品をカートに突っ込み魚を売っている商人の前へとたどり着いた。
 シル・クスはというと、1人乗りなれた龍の城行きの船に乗り、アルベルタを離れていった。

 一方、ピラミッドに向ったリューディーはというと・・・。

「グランドクロス!!」
 ピラミッド3階でマミーやミミック、マーターなどをグランドクロスで退治していた。
「騎士団のようにはいかんな・・・」
 ため息をつきながらも狩りは続いていく。
 グラストヘイムの騎士団ほど緊張しなくてもいいせいか、傍から見れば楽な狩りをしていた。さすがに人気のない狩場だけあって、他の冒険者はいっさいいない。時折見知らぬパーティーが目に映るが、大体がこの階を通り過ぎて4階へと向っていく。まぁ誰一人として3階に居続ける者はいなかった。
 騎士団ではちょくちょくカードを出していたリューディーだったが、ピラミッドに狩場を移してからというもの、一向にお目当てのマミーcが出ることはなかった。
 それでもリューディーは、騎士団での狩りと同様、グランドクロスでのまとめ焼きをし続けるしかなかった。もちろんそう簡単に出てくるものでもないことは自覚している。むしろ早く出てくれれば狩場を移すこともできるのだが・・・、と苦笑するしかなかった。
(うだうだ言っても始まらないか、目先のことに集中するか・・・)

 リューディーの背負った期待はずっしりと重たいものであった。
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  by lywdee | 2011-08-02 11:17 | Eternal Mirage | Comments(0)

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