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Eternal Mirage(156)

 クリスマス近づくミッドガルド大陸。プロンテラも例年の事ながら、クリスマスの装飾がそこかしこに施され始める。
 街の賑わいをよそに、ル・アージュとネリスは食材の買出しに出ていた。
「賑わってるねぇ」
「もうじきクリスマスだもん。ルア姉は今年もクリスマスプレゼント用意するの?」
「今年はどうしようかな・・・。あっさんいれば渡したいんだけど、今年は会えるんだろうかわからないのよね・・・」
 ため息が白くなるほど冷えた街中を歩く二人。
「ファ・リーナ、こんなところにいたのか」
 聞き覚えのない声がル・アージュの耳に入る。姉が近くにいるのかと振り向くと、そこには緑色のロングヘアーの女のソウルリンカーがこちらを見ていた。
(お姉ちゃんの知り合いかな?)
 ル・アージュはルシアから聞いた姉の相方だと思い出したところで、それとほぼ同時にソウルリンカーが間違いに気づいた。
「すまない、知り合いに似ていたんで間違えました」
「半分当たってるよ」
「・・・?」
「ファ・リーナは私の姉です」
「・・・!」
 ソウルリンカーは驚いた表情でル・アージュをまじまじと見る。そこへタイミングよくファ・リーナが人ごみを掻き分けル・アージュらの下へと現れるのだった。
「お姉ちゃん何してるのさ」
「ふぅ、あら、ルアもいたのね」
「おい、ファ・リーナ。妹がいることなんぞ聞いてなかったぞ!」
「あらあら・・・、まだ言ってなかったかしら?」
「まぁいいさ、それより紹介してくれないか」
 ソウルリンカーに促され、ファ・リーナは息をただし「ふぅ」と呼吸を整える。
「ルア、ネリス、こちらが私の狩り友のミディアよ。そしてミディア、こっちが妹のル・アージュ、そしてこの子が従姉妹のネリスよ」
「いつも姉がお世話になってるようで・・・」
「こちらこそ、いきなり声をかけて申し訳ない」
 二人は軽く会釈しあう。
「・・・で、お姉ちゃんはこれから狩りなの?」
 挨拶もそこそこでル・アージュはファ・リーナに問いかける。
「今日は蒼天祭ってのに行ってみようってミディアと待ち合わせしてたの」
「あのギィ・ロックスターって人がやってるお祭りに?」
「そうよ、何か楽しそうだけど、1人で行くには不安でね、ミディアが付き合ってくれるって言うからこれから行ってみるの」
 微笑みながら楽しそうに語るファ・リーナとは対照的に、ミディアと紹介されたソウルリンカーは、ため息一つこぼして呆れていた。
「正直人の多いところは苦手なんだがな、相方が行きたいって言うんなら仕方ないさ」
「へぇ・・・」
「じゃあルア、また今度会いに行くから、その時はゆっくり話しましょ」
 そう言ってファ・リーナとミディアは、祭りの送迎所へと歩いて行くのだった。
「蒼天祭ねぇ・・・、ねぇネリス、私たちも後で行ってみない?」
「うん、なんだかリーナ姉も楽しそうだし、ヴァーシュ姉も誘って行こうよ」
 買出しに戻る二人は、肉屋でフレアの書いたメモどおり注文し、ネリスが値切ってお肉を買う。
 買出しも終わると、二人は食材をテーブルに並べていく。その食材もフレアが丁寧に分け、後は肉だけとなるとちょうどよくヴァーシュが帰宅する。
「フレアさん、氷持ってきました」
「助かりますヴァーシュ様。ちょうどお肉を入れるところなので保存庫を整理いたします」
 ヴァーシュは麻袋から氷の塊を出しテーブルに置くと、フレアが保存庫の氷をすべて出し、ピックで砕きながら新しい氷を綺麗に並べてはお肉を保存庫にしまっていく。
「ねぇヴァーシュ、祭り行ってみない?」
「祭り? あのギィ・ロックスター主催の?」
「うん、お姉ちゃんも行ってるみたいだし、3人で覗きに行かない?」
「うーん、そうねぇ・・・、気分転換に行ってみようかしら」
「じゃぁ決まりってことで、お昼食べたら行ってみようよ」
 ル・アージュとネリスが期待の目でヴァーシュを見つめていたので、ヴァーシュも断りきれず、ため息とともに食卓の椅子に腰を下ろすのだった。
「そうそう、お姉ちゃんの相方にも会ったわ」
「どんな人だったの?」
「えーと、ハスキーな声で緑色の・・・、ネリスと同じ髪型の男口調の人だったわ」
「へぇー」
「あと、やっぱりと言うか、お姉ちゃんに間違えられた」
「似てるものね、ルアもリーナも・・・」
 食卓で3人揃って談話してるとフレアが食卓にかぼちゃパイを並べる。どうやらお昼御飯のようである。
「あとさぁ、ヴァーシュ明日の朝ちょっとセラフィーさんとこ付き合ってくれない?」
「どうしたの? 改まって・・・」
「いやね、ヴァーシュの叔父さんに槍を少し習おうかと・・・」
「私じゃダメなわけ?」
「うん、叔父さんもナイトなわけだし、ちょっと技を教えてもらおうと・・・」
「・・・、わかったわ。私も父上には会っておきたいし、付き合うわ」
「ありがとヴァーシュ!」
 立ち上がってヴァーシュの手をとり上下に振るうル・アージュ。その光景をピザを食べつつ黙ってネリスは見ていた。
 そしてお昼御飯を食べ終えた3人は、蒼天祭に出かけていくのだった。

  by lywdee | 2011-12-19 00:48 | Eternal Mirage

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