Eternal Mirage(190)

 満開の桜が散り始めたプロンテラ。その中でも季節問わずにぎやかな精錬街、その中にある男所帯にクリシュナは訪れていた
「・・・で、その後インバースはどうなったの?」
「あぁ、あれですか。大幅に成功したんで過剰して、何個か壊しましたが3個できて2個売りましたよ」
「いくらで?」
「ネリスが売ってる若cと同じ値段ですが、しっかり捌きましたよ」
「武器だけっていうのも考え物だけど・・・、よく過剰成功したわね」
 セラフィーとクリシュナの会話に、居間でお茶を飲んでいたリューディーが口を挟む。
「セラフィーは、ランカーじゃないが武器の精錬はけっこうな腕前だからなぁ」
「リューディー、あなた仕事は?」
「これからさ。・・といっても、プロンテラ内のパトロールだからな。時間通りに合流先に行ければいい」
 そう言ってリューディーは、お茶を飲み干し鎧をまとい始めた。
「それで、インバースの残り一個はどうするのさね?」
 クリシュナはそうセラフィーに尋ねた。
「ああ、なんでもネリスが買うって言ってたわ」
「ネリスが? なんでまた・・・?」
「なんでも姉にプレゼントするらしいよ。星屑剣のお返しらしい」
「ふむ・・・。あの子も律儀だからねぇ」
「紅茶が入りました。冷たいうちにどうぞ」
 厨房にいた渚 レイがお盆にティーセットを乗せて居間に向かって歩いて行く。
「じゃあ私は行ってくる」
 入れ違いでリューディーが外に出る。
「ところで。その星屑剣の束は何?」
「あぁこれかい? ネリスが持ってきたやつさ。オリデオコンを仕入れてから過剰する予定さ」
「そういや、ネリスが若c二枚欲しいって言ってたな」
 クリシュナは紅茶を口にしつつ、ここしばらくのネリスの言動を思い出していた。
 武器補正があるので、中型には片手剣の方がダメージが出るのを知ってるクリシュナは、そのネリスの行動について合点がいったようだ。

 その頃、リューディーはグリフォンを駆りプロンテラ中央の噴水まで来ていた。
「りゅーさんお待たせいたしました」
 空からばっさばっさと翼の音が聴こえ、ロイヤルガード「ヴァーシュ」が合流した。
「今日もパートナーはヴァーシュか」
「はい! 今日もよろしくお願いいたします」
 笑顔でリューディーの言葉に答えるヴァーシュ。グリフォンを着地させリューディーの前に立ち、軽く敬礼をした。
「今プロンテラ内をパトロールしてる部隊はどこの所属ですか?」
「ああ、確かリンク部隊長だと思う。たぶんそろそろくる頃だろう」
 リューディーが空を仰ぐと南から一頭のグリフォンの姿が見えた。
「おや? 誰も乗ってない・・・。それにこれはリンク部隊長のグリフォンだ。何かあったらしいな。ヴァーシュ、グリフォンに乗れ! 案内はこいつがしてくれるだろう」
 リューディーとヴァーシュがグリフォンに乗ると、ここまで来たグリフォンが二人について来いと言わんばかりに、先導して飛び上がった。

 グリフォンの後を追う事数十分。リューディー達は露店街の外れ、精算広場と呼ばれる地点にたどり着いた。
「リンク部隊長、どうしたんです?」
「おお、リューディーか。すまない部下にヒールをかけてくれないか?」
 そう言ってリンクは若いロイヤルガードを指さした。
 事情を察したのか、リューディーは若いロイヤルガードにヒールをかけ始めた。
「突風にあおられグリフォンから落ちたんだ。たぶん足を骨折してる」
「そのようですね。ヴァーシュ、私のグリフォンからシーツを出してくれないか?」
「あ、はい!」
 リューディーに言われ彼のグリフォンの荷袋から一枚のシーツを取り出すヴァーシュ。リューディーはそれを受け取り三角形に折りその上に若いロイヤルガードを乗せた。どうやら三点でもって病院までグリフォンで運ぶ算段だ。
「私が左を、ヴァーシュは右を、リンク部隊長は下を持ってくれませんか? 低空飛行で病院に運びましょう」
「頼む」
 そうして3人はグリフォンを羽ばたかせ高度をとらず低空飛行で若いロイヤルガードを運ぶのであった。

 病院までたどり着くと、リンクが看護師たちを呼び出し若いロイヤルガードを運んでもらう。
 リューディーはシーツを荷袋に戻すと、ヴァーシュとともにリンクの前に立った。
「すまないな。私の監督不行だ。二人はそのままパトロールに戻ってくれ。私は報告書と始末書が待ってるんで城に戻る」
「はい」
 そうしてリューディーとヴァーシュの二人は、グリフォンにまたがりプロンテラの空へと羽ばたかせていった。

 夕方。ヴァーシュは女所帯に帰ってきた。
「ただいま戻りました」
「ヴァーシュ姉おかえり。ルア姉が待ってるよ」
「あら、何かしら?」
「お風呂じゃない? ルア姉もついさっき帰ってきたばかりだから・・・」
 食堂でリンゴを食べていたネリスが、二階のル・アージュの部屋を指さした。
 ヴァーシュも二階の自室に戻り、鎧を脱いで部屋着に着替える。
「ヴァーシュ! お風呂入ろ!」
 着替えが終わったとほぼ同時にル・アージュの声が響いた。
 二人は部屋着のまま下着をもってお風呂場へと向かった。
「ネリスはお風呂に入ったの?」
「私はクリシュナ伯母さんと入ったよ」
「そう、じゃあ行ってくるね」
 ヴァーシュとル・アージュは、脱衣所で服を脱ぎお風呂に入る。
「はぁ・・・あったかい」
「ルアは今日も氷D?」
「そうよー。クリシュナ伯母さんが言うように、毎日1時間でもこもれって言われたからね」
「はぁ・・・ルアも大変ね」
「だって、今度はヴァーシュとルシア叔母さんの装備整えるってクリシュナ伯母さんが言ってたからね」
 二人で湯船に浸かってあたりさわりのない話をしてたが、話題はヴァーシュの師団長の話が上がってきた。
「ヴァーシュも師団長の話がでてきたんだね」
「・・・も、ってことはルアにもそんな話が上がってるの?」
「そうよー。私には向いてないと思うんだけどねー」
 二人して髪を洗っていると、不意にルシアがお風呂場へと入ってきた。
「あら、邪魔だったかしら?」
「そんなことないよー。私たちもうじきあがるから・・・」
 ヴァーシュとル・アージュは、お互いに手桶で髪にお湯をかけてシャンプーを洗い落とし立ち上がった。
「では伯母様、ごゆっくり・・・」

 二人がお風呂から上がり食堂へとついたとき、珍客がネリスと話しをしていた。
「あら二人とも、お風呂入ってたの?」
「ネイ姉さん来てたんだ」
 珍客、それはネリスの実の姉ネイ・セリス・フラウディッシュだった。
「いやね、ネリスがプレゼントあるからって言ってたから、様子見を兼ねてきてみたのさ」
「はいお姉ちゃん。過剰インバーススケイルだよ」
 そう言ってネリスはネイにカタールを手渡した。
「悪いねー、気ぃ使わせちゃって・・・。ありがたくいただくわ」
 インバーススケイルを受け取ると、ネイは不意に立ち上がった。
「うちもそろそろご飯のはずだから、そろそろ帰るわ」
「お姉ちゃん、また近いうちに帰るからね」
「はいはい。叔母さーん、帰るよー」
 居間に向かって叫んだネイ。そこにはクリシュナと話してるパルティナがいた。
「あらあら、もうそんな時間。では姉様(あねさま)また来ますね」
「ムリするんじゃないよ」
「はい」
 にこやかな笑顔のパルティナがワープポータルを出す。その光の柱にネイとパルティナが入っていった。
「皆さま、お食事ができました」
 フレアの声と同時にルシアもお風呂からあがってきた。
 そして女所帯は静かな夕食時を迎えるのであった。
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  by lywdee | 2016-04-12 15:28 | Eternal Mirage | Comments(0)

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